とはいえ、1960年代には日本人の個人旅行者にはヨーロッパの大都市のホテルの宿泊料の高さが不安だったし、安いB&Bの存在など全く知られていなかった ( JTBがくれる『外国旅行案内』。ポケットに入る大きさでヨーロッパ編400ページ程度が当時日本で入手可能な旅行情報のすべてだった )。そこでクリスチャンではないがYMCAホステルの安い宿泊料のため、日本出発前にYMCAに加入した。大学町に到着するまでにロンドンに一泊はする必要があったし、すぐ近くの大英博物館は見ておきたかった。当時は、外国のホテルでは食堂へはネクタイを着用して行くと聞いていたが、そんな事はなかった (ホテルでないせいかはわからなかったが )。
翌朝、窓外に始めてロンドン名物のスモッグを目にした。当時の英国はまだ石炭利用の暖房が主流だったためだが、その後同じ経験をすることは二度と無かった (帰国時しかロンドンに泊まったことはなかったが、その間何回かは上京?したのだが )。健康のためには望ましいことだが、煙突掃除夫が消え、映画『メリーポピンズ』の情緒は主題歌『チム チム チェリー』の記憶以外は失われた (このこと前にも書いたような? )。
その日、大英博物館の館内のカフェテリアで昼食をとった。場所を探していたらアジア人女性が手を挙げて呼んでくれた。ロンドンで働くタイ人。流暢な英語でお前は何をしに英国に来たのかと問われたが、私の慣れない英語では留学のためとは口が裂けても言えなかった。帰国するまでには同館の図書室を何回か利用することになるのだが。
その後どの国でもYMCAホステルを利用することはなかった。英語国では当時『ヨーロッパ一日5ドル旅行』がベストセラーで、安宿探しは容易になったので。
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