2015年7月15日水曜日

イラン核協議の合意成立を歓迎

イランの核開発をめぐる同国と米英独仏中露6か国の協議がようやく成立した。米国とキューバの国交回復とともに退任近いオバマ大統領の業績づくりの一環であるとしても、イランと外部世界との緊張を大幅に緩和するものであり、米露関係にも好影響となる可能性はある。

私は核技術には素人なのでイランによる秘密の核兵器開発の可能性がゼロだと言い切る自信はない。したがって国土が狭小なイスラエルの反対は理解はできる。しかし、もしイランが将来イスラエルを核攻撃すれば米国の報復でイランの国土は悲惨な状態になるだろう。原爆は相手国への威嚇として役立つとしても、実際には使用は不可能な兵器である。いま一番重要なことはイランの穏健派政権に実績を挙げさせ、人気を不動のものにすることである。

かつてイランのパーレビィ王制が「ホメイニ革命」で崩壊したとき、世界でもわが国でも大半のメディアは独裁に対する民衆の勝利としてこれを歓迎した。しかしイランの王制は国の近代化を目指していた政教分離の国家であったのに対し、ホメイニ支持者は時計の針を逆に戻すことを願う人たちだった。じじつ王制崩壊後のイランの政治は惨憺たるものであった。当時代々木公園がイラン人労働者で溢れていたことを記憶する人は少なくないはず ( 出稼ぎのためと同時にイランイラク戦争での無意味な戦死を忌避するためだったようだ )。さいわい現在の穏健派政権は、政教一致を否定しないとしても実際的利益をより重視するだろうし、イラン国民もそれを是とするだろう。

今度の合意成立にはロシアも協議に参加している。合意不成立だったらロシアが西側への対抗のためイランの孤立を利用する誘惑に駆られる可能性はあったろう。合意成立でその可能性は無くなった。あとはイスラエル贔屓の米国議会の妨害が成功しないよう祈りたい。

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