2014年11月24日月曜日

高倉健の功績は?

俳優高倉健が亡くなって十日以上も経つのに、彼に関するテレビ番組がひきも切らない。その中で彼が文化勲章をもらっていたことに改めて気付いた。何故それほどまで評価されたのか。彼自身は映画界に入ったのは生活のためだったと正直に語っているのに。

ひとつには彼の人柄もあろう。彼は映画では常に寡黙で不器用な男を演じているが、実際は無口ではなく周囲に何くれとなく気を配る人だったようだ。彼が英語が得意で貿易商を目指していた(Wikipedia)などと誰が想像するだろうか。また、礼儀正しく謙虚でもあったようだ。特別の演劇教育を受けていないというコンプレックスがあったのだろうが、205本の映画に出演した男の態度が大きくてもおかしくない。本来の性格か教員の母親の教育の結果か、スタッフや周囲の人たちへの感謝を忘れなかったようだ。

ある意味では極めて古風な日本男子の役を演じ続けた彼が中国で大変人気があったと聞き、最初は不思議だった。しかし彼の死去の報道の五時間後に中国外務省の報道官( あの例の男!)が記者会見で死去に言及したし、街頭アンケートで十数人中半数以上が高倉の主演映画の主題歌を知っていると聞けば、信じる他ない。

なぜ中国人にそれほど評価される俳優になったのか。文化革命中の紋切り型の中国映画に飽き飽きしていた人々に彼の主演映画が新鮮に映ったからだと中国人の映画評論家は語っていた。映画の中で高倉健の演ずる日本人に、寡黙、忍耐、謙虚、礼儀正しさといった美徳を見たということか?これらの美点の大部分は他の国民も無論持っているが、寡黙を尊ぶのは日本的ではある。それは弁解は潔くないと感じる日本人の美意識なのだろうが、そこに中国人も共感できるのか? もし中国人に日本人の美意識を知らしめた功績に対して文化勲章が与えられたということなら、受章の価値ありと私も思う( そう思いたい )。

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