発生以来2年半にもなるロシア・ウクライナ戦争は我が国でも絶え間なく報道されている。しかし、開戦以来私が気づいたのは、これまでロシア関係の報道に際して紙上でよく見かけたロシア研究者たちの名が稀にしか目につかず、二世代ほども違う若い研究者たちの発言ばかり紹介されていることである。古い世代はもう亡くなっている場合も多いだろうが、そればかりでもないのでは? 想像だが、彼らが一方的なロシア断罪に合流出来ない、したくないからでは?
ゼレンスキー大統領はウクライナの独立以来ロシアに奪われた全領土の回復なしには終戦はないと断言している。しかし、例えばクリミア半島は19世紀に帝政ロシア(当時はウクライナも含むが)がトルコから獲得したもので、第二次世界大戦末期にここの美しいロマノフ時代の離宮でヤルタ協定がつくられた。フルシチョフがソ連末期にクリミアをウクライナ領に移管したとき、ソ連の崩壊など誰も予想していなかった。20年ほど前にウクライナ東部がロシアに奪われたのはウクライナがロシア語を排除して国語をウクライナ語に統一したことが紛争の発端で、ウクライナは国連が勧告した「東部の特別の地位」への2国間交渉にその後応じなかったと記憶する。
無論ウクライナだけを責められない。ソ連解体時、ロシアとともに冷戦終結を誓った西側大国がNATO加盟国を15から30に倍増させたことが賢明の筈がない。今のままではバルカン半島の小国の行方が全ヨーロッパに拡大し誰も止められなかった第一次大戦の経過をたどりかねない。いかに小国に同情しても原水爆戦争に近づいてはならない。今のままでは取引(ディール)上手を自称するトランプが米国大統領に選ばれるのが世界にとって安全、などということは無いだろうが.............。
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