2023年2月10日金曜日

「時代の正義」への違和感

 岸田首相の秘書官がLGBTの人との同席は気持ちが悪いといった主旨の発言をし、多様性を重視する内閣の方針に合わないとして罷免された。私はLGBTの人と同席した経験は無い(多分)が、テレビ出演者などでLGBTをウリにしている人にとくに違和感を感じないし、人それぞれと思う程度である。多様性の尊重は当然のことと考える。

 しかし、90年近い人生の中で私は「時代の正義」を幾度か見聞した。戦時中は「皇国日本」、戦後は「ソ連平和勢力論」や「反安保」。 ハンガリーやチェコスロバキアの自主性要求を戦車で葬った旧ソ連を現在平和愛好国だとは誰も言わないだろうし、今は野党といえども「安保廃棄」とは言わなくなった。私が多様性の尊重といえども他人に押し付ける気になれないのは、そうした「時代の正義」を叫んだ人たちの反省の弁を稀にしか聞かなかったためもある。

 もうひとつ私の気に入らないのはオフレコの記者会見での発言が明かされ、問題とされていることである。公式の記者会見ではどうしてもタテマエの開陳となりがちで、ホンネはオフレコで明かされるという場合も多いのでは。そしてそれが有益である場合も。 オフレコの約束が破られることは長い目で見ればメディアにとって自縄自縛にならないだろうか。信義の問題も軽くはあるまい。

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