2022年2月2日水曜日

ロシア国民をプーチン支持に追い込むバイデン氏

  今から40年以上も前、私は旧ソ連のある行動に納得できず、同じ職場のロシア史が専門の今は亡き長老教授に対してソ連批判を口にした。ソ連共産主義に批判的な同氏は、当時の「進歩派」から「反ソ反共派」とそしられた研究者グループの有力メンバーだった。私は当然に同感の言葉を予想したが氏は、「いや、ロシア人の対外警戒心には理由がある」と古くはモンゴル人の侵入と支配の300年 (ロシアでは「タタールのくびき」と呼ぶ)からナポレオンやヒトラーの侵入などを例にその時のソ連の行動を弁護された。

 ウクライナをめぐるプーチンのロシアの行動を中世まで遡って弁護するのが正しいかは別として、現在のロシアを警戒の眼ばかりで見るバイデン政権には賛成できない。同じく強権政治と言っても複数政党が存在し国政選挙も行われるロシアと、中国や北朝鮮のように一党独裁で制度上も政府の上に共産党が存在する国と同一視するのは正しくない( 中国や北朝鮮へのバイデン政権の姿勢には私は賛成する)。ロシアが長大な国境で接するウクライナの動向を警戒するのは不当ではない。

 幸い? 同じNATO加盟国でもフランスとドイツは微妙にバイデン政権と距離を取り始めたようだ。フランスは冷戦時代に米国が推進する西ドイツ再軍備に抵抗した過去を持つ(それでもドゴール大統領はキューバ・ミサイル危機のような決定的瞬間には米国を躊躇なく支持した)。マクロン大統領も米露間の調停役というフランスの伝統的立ち位置を意識し始めたのか。バイデン政権の対露政策は客観的には国の安全はプーチンにしか頼れないとロシア国民に思わせる効果を生むだろう。

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