2021年8月17日火曜日

アフガニスタン政治の行方

 アフガニスタンの首都カブールがタリバーンの手に落ちた。事態の進行は予想より多少速かったが、驚くほどのことではなかった。政府軍に戦意など無いことは明白だったから。たぶん仕事口もなく生活のため入隊した者が大部分だったのだろう。バイデン大統領の先見性の無さは呆れるばかりである。しかし、バイデンの米軍撤兵の決定自体は誤りではない。二十年間も援助しても効果がなく感謝もされないとあってはそれが当然だろう。トランプが早速バイデン批判を始めたが、撤退自体はトランプ大統領が決定したのである。

 大国が住民のゲリラに手を焼いた例は歴史上数多いだろう。ゲリラは住民の支持を得ているから強いとの思い込みは必ずしも正しくない。ゲリラは戦う時と場所を選べるから強いのである。今次大戦後まもなく英国はマレー半島の共産ゲリラ( と言われた。真偽は不明)に悩まされたとき、ゲリラに勝利するには数倍の兵力を必要とすると同国の専門家が語ったことを微かに覚えている。それでも英国がゲリラを根絶したのは、「戦略村」と呼ばれた場所に住民を収容しゲリラの糧道を絶ったためと聞く。

 今度のアフガン戦争のため米国は多くの兵士を失ったが、NATO加盟国も同様である。日本と同じく前大戦の敗戦国だったドイツやイタリアも同盟の実を示すため少なくない戦死者を出した。今のところタリバーンは民主主義や人権、とりわけ女性の権利に対し以前の政策を踏襲しないと語っているようだが、それが本心かどうか。国連を中心に国際的な働きかけが望まれるが、それが有効か否かは確かではない。

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