合理主義者というべきか、フランス人は理屈として正しいとなれば果敢にその考えを実践する。フランス革命で「自由 平等 友愛」を高らかに宣言したからには王政などという中途半端な政体にとどまれない。国王夫妻をギロチンにかけ共和政を採用した。
しかし、「第一共和政」と呼ばれたその政体は続かず、ナポレオン帝政、ブルボン王政復活、オルレアン王政、短い第二共和政ののちナポレオン3世の帝政と、(第三)共和政の確立まで数十年を要した。その後もカトリック教会と共和政府の間に紛争は続いた。そうした歴史からフランスの政教分離はヨーロッパの他国に比しても徹底している。
五年前、週刊の『シャルリ・エブド』がイスラム教の教祖ムハンマドを徹底的に戯画化してイスラム原理主義者の怒りを買い、襲撃されたことは記憶に新しいが、フランスでは官民挙げて表現の自由を擁護した。さらに最近、表現の自由をテーマとする授業で上記の風刺画を使用した学校教師が一匹狼の原理主義者に惨殺されると、マクロン大統領が「表現の自由は誹謗の自由を含む」と語った。
今朝の毎日新聞に、「エルドアン氏の風刺画に猛抗議」との見出しでシャルリ・エブド』がトルコの大統領を題材にした風刺画では、下着姿のエルドアン氏がスカーフをかぶったイスラム教徒と見られる女性のスカートをめくる様子が描かれている」とのこと。宗教の開祖とはいえ歴史上の人物でもあるムハンマドと異なり今回は他国の現職大統領であり、しかもあまりに品位を欠く。私はエルドアン氏の政治姿勢に好感を持たず、むしろ危険人物と考えている。しかし、風刺の自由は大切だが、そこに限界はないのだろうか。
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