NHK教育テレビの『美の壺』は毎日曜日、進行役の草刈正雄のとぼけた登場に始まり、通常の芸術上の美に当てはまらぬ日常生活上の美にまで光を当てる番組で、毎週楽しみにされる方も少なく無いだろう。草刈のとぼけ振りも含めて私は毎週では無いが録画して楽しんでいる。
最近の回(10月18日)は「秋をまるごと 柿」というタイトルで、銘柄品の生柿や干し柿の紹介に始まり、柿の葉寿司や柿渋を利用した布(渋い!)や柿の大木の幹に稀に発生する黒い縞模様(黒柿)を取り込んだ器などまで紹介されていた。それぞれに興味はあり、作り手のこだわりに感じ入ったが、銘柄品の柿や干し柿に縁の薄い我が家として多少の違和感も感じた。
柿は一例に過ぎないがリンゴや梨や桃や葡萄など、最近の果物の大きさや見た目の美しさは目覚ましいが、価格も気楽に買い求める水準ではなくなってきた。摘花の結果、リンゴも梨も老人には一人一個を食するには難しいほど大きいし、桃なども表面の生毛まで完璧に残されている。
アジアを中心に海外では日本の果物は高級品として人気が高いと聞く。喜ばしい限りだが、はるばる海外から運ばれたバナナが一房百円余りで売られているのを見ると、この差は何なんだと言いたくもなる。自由主義経済のもと、嫌なら食わなければいいだけの事なのか。晩春から初夏の食べ物だった苺はもうその頃には店頭に無く、クリスマスの頃が収穫期になった。私という人間はつむじ曲がりなのか(今ごろ何を?)。
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