2020年10月25日日曜日

首脳外交の重要性

昨日の朝日新聞の書評欄にゴルバチョフの新著『変わりゆく世界の中で』( 朝日新聞出版 )を保坂正康氏が紹介している。私は原著を読んでいないが、東西冷戦を終わらせた当事者たちの決断の裏面史であり、首脳相互間の信頼がいかに重要かを語っている。

終わってみれば必然のようにも映るだろうが、1990年頃までの東西冷戦は激しかった。朝鮮戦争やベトナム戦争を想起すれば冷戦とさえ呼べるかどうか。中でもソ連のミサイルがカストロ指導下のキューバに密かに導入されかけ米国の艦船が阻止線を張ったキューバ・ミサイル危機はついに米ソの軍事衝突が不可避かと世界を震え上がらせた。

そうした東西冷戦を終わらせた最大の要因はソ連側のゴルバチョフの登場だったが、西側ではサッチャー英首相とレーガン米大統領の柔軟な対応だった。書評には言及がないが、西側首脳として最初にゴルバチョフと会談したサッチャーはレーガンにゴルバチョフは信頼に値する人物だと伝えた。そのためアイスランドでのゴルバチョフとの最初の出会いのときレーガンは過度の警戒心を持たなかった。

世界は幸運にも互いに共感できる三人の指導者 ( とレーガンと交代したブッシュ ( 父 )大統領 )を同時に持っていたのである。残念ながらその幸運は長続きしなかった。ただ独り生存しているゴルバチョフは現在のロシアでは全く評価されていない。彼の現在の心境は「預言者故郷に容れられず」そのものだろう。それでも冷戦終結に彼の果たした功績は不滅と言っても過言ではない。

N.B.    前回のブログは新しいiPadに私が不慣れなためか、行間が詰まったものになった。そのため今回は取り敢えず旧機種を使って様子を見ることにした。適応能力の不足は自認するしかない!

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