2020年10月5日月曜日

東欧諸国の過去と現在

一昨日は冷戦下で東西に分裂したドイツが30年前に統一を回復した記念日だった ( ベルリンの壁が崩れたのは前年の11月 )。当時の興奮は外国人の私でさえ強かったのだから、東独市民の喜びは半端でなかったろう。なにしろバナナが貴重品。車は我が国の軽自動車より窮屈な ( らしい!) トラバント ( トラビ ) の入手に数年待ちだったのだから当然である。しかし現在の旧東独市民は旧西独市民と比較して所得が低いことに不満を抱き、その一部は過激右翼を支持しているとか。世も人も変われば変わるものである。

統一より少し前の東独を訪ねたことがある。東独航空の主催?で、共産主義下のポーランド、ハンガリー、チェコスロバキア ( 当時 ) の市民生活を垣間見られるとはヨーロッパ現代史専攻の私にとっては夢のようなツアーだった。その20年ほど前、シベリア鉄道経由で英国から帰国した際、東独を通過したが、東ベルリン ( 動物公園駅 ) ではプラットホームに降りることも許されなかった。

ツアーの訪問先は歴史的文化的に重要な場所ばかりで、共産主義の宣伝じみた事は一切無かった。逆にポーランドでは現地ガイドが、ワルシャワで一番美しい場所はどこか、それはソ連が援助して建てた文化科学宮殿である。なぜなら文化科学宮殿が見えないからと皆を笑わせた ( このブログで紹介済み?) 。どの国でも丁重に案内され、不愉快な事は無かった。東ベルリンではブランデンブルグ門から西ベルリンを望見しただけだったのは仕方が無かった。

間もなく東欧共産圏は崩壊し、各国は政治的自由を回復した。しかし最近、ポーランドやハンガリーなどでは権威主義的政治が一部復活したと聞く。人間は忘れ易い動物なのか。それとも民主主義を実践することは容易でないと言うことか。30年前の歓喜をどうか忘れないでほしい。



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