2019年10月28日月曜日

途上国指導者評価の難しさ

今朝の朝日新聞に「『デモSNS時代』 瞬時に連携拡大   見えない指導者」との記事があり、6ヶ国 ( イラク、エクアドル、レバノン、チリ、ボリビア、エチオピア ) の反政府騒乱のリストが載っている。そのうち4ヶ国の騒乱は公共料金の値上げやガソリンなどへの補助金カットへの反撥が引き金とのこと ( 他の2国は開票結果への不信のボリビアと部族対立のエチオピア ) 。反政府デモの結果、値上げは撤回された国が多いようだが、どの政府も財政困難に直面して不人気な値上げを計画したはず。撤回してどうなるのか。エチオピアのアビー首相は隣国エリトレアとの戦争を終わらせノーベル平和賞を受賞したばかり。部族対立で足をひっぱって何の良いことがあるのか。

テレビ局名は忘れたが、今朝のニュース番組 ( NHK ? )でインドネシアのジョコ大統領に反対するデモが激化していると伝えている 。他のメディアの報道が無いのでデモの原因は今ひとつはっきりしないが、汚職の横行や言論制限措置への反対と聞いた。

国民の大多数がイスラム教徒のインドネシアで同教徒ではないジョコ氏は同国の経済発展に大いに努めてきた。大統領選挙で争ったイスラム派のプラヴォオもと司令官をこんど副大統領にすると聞くが、無益な宗教対立のために国の発展を阻害しないための策だろう。他国同様インドネシアも汚職への不満が反政府デモの一因とされているようだが、申請書類への窓口の対応を早めるため書類に紙幣を挟むのが通例という汚職横行の国でそれを理由に政権打倒を繰り返していたらどうなるのか?  私はアビー首相やジョコ大統領が反政府騒乱で打倒されるなら途上国の前途は暗いと思う

P.S.   前回の3600万人や2400万人は3600人と2400人の誤り。悪しからず。

2019年10月23日水曜日

令和天皇即位の式典

令和天皇即位に伴う式典はまだまだ続くようだが、外国のVIPを招いての昨日の正殿の儀と饗宴の儀で山場は越えたようだ。各紙により前例踏襲と前例見直しの比率の評価が分かれるのはやむを得ない。私自身は前例の扱いについての事前の検討が政権内でほとんど無かったらしいのは不満だが、結果には大きな不満はない。雅子皇后の元気な姿が見られたことが採点を甘くしているのか!
何しろ私は皇后と同じ二校で学んだので。

正殿の儀については私もより簡素なものを望んでいたし、万歳三唱は無くもがなと今も思うが、式全体については中国文化の影響はあろうが各国が独自の式典を披露することは悪くないなと少し意見を改めた。昨日の式典の全費用が160億円と前回の123億円より増加したとのことだが、国家予算がその間66兆円から101兆円に増加していることを考えれば抑制気味と言える。

饗宴の儀についても参加人数が前回の3400万人から2600万人に減らし、前回の7回を4回にして後半の2回立食形式に改めたという。もっともそれは「皇后さまの体調への配慮もあると見られる」( 『東京』)とのことだが、これが前例となる可能性は大だろう。恩赦が行われるのは不満だが、人数が前回の4分の1になったのは一歩前進ではある。

共産党は式典に欠席したという。それに賛否はあろうが、結果としてわが国が政治的自由を重んずる国であることを示した点で良かったと言える。銀座での400人ほどの式典反対デモも同様である。今後も暴力を伴わない限り意見表明は自由であるべきである。

君主制を廃止した中国や韓国の国民は今回の式典を時代遅れの愚行と見ただろうか。私はそうした人ばかりでもないと思うが果して............。

2019年10月17日木曜日

山中伸弥氏の思索

昨夜のNHK  BSプレミアムの『100年インタビュー』はiPS細胞研究の山中伸弥氏へのインタビューだった。私はこの番組をこれまで見たことがなく昨夜も偶然に途中から見たので、番組の紹介者としておよそ不適任だが、氏の思索の深さに感銘を受けたので書く。

最近の遺伝子工学の実状に疎い私は人間の遺伝質、例えば障害に関係する遺伝子の除去技術などの進歩に驚くばかり。逆にスポーツ選手のレベルを将来高めることさえ可能らしい。科学の大いなる進歩という他ないが、問題はそれほど単純ではない。

障害を持つ子どもの誕生の減少をめざす技術の進歩は親にとっても社会にとっても望ましい。じじつ、その可能性を知った親の9割は妊娠中絶を選ぶと聞く。私も当事者ならそうするだろう。どれほど障害者を助ける技術が進歩しても生活上の不便は健常者の比ではないだろうから。しかし、それはナチスが利用した優生思想とどれほど違うのか。

むろん、誕生した障害者の生命を絶つことと遺伝子操作で予防することの違いは大きい。しかし、遺伝子操作はすでに神の領域を侵していると見ることもできる。他にも遺伝子操作の失敗が恐るべき病原菌を地上に誕生させる可能性すら考えられるとのこと。斯界の先頭を歩む山中氏が研究の進展がもたらす地球大の影響に想いを致す姿に、氏の誠実さとともにパイオニアの苦悩を感じざるをえなかった。


2019年10月15日火曜日

韓国法相の辞任

韓国のチョ・グク法相が辞職したという。新聞休刊日のためテレビ報道だけからの知識なので、三大不祥事?のどれが主因となったかは分からない。世論調査での政府支持率の低下が原因とも言われるが、それほどの低下とも思えなかった ( 安倍内閣ほどでない?!)。やはり、反論が困難な証拠が出たということか。

仮にチョ氏自身が娘の不正入学などに関わっていなかったとしても家族が関係していたとすれば、朴前大統領のケースに照らしてもやはり辞職ものだろう。朴氏の退陣の場合自身の娘ではなく、いかに親しいとは言え相談役が自分の娘のため犯した不正入学だったし、馬術の腕前はオリンピック級だったなら日本の私大ならスポーツ枠で大手を振って入学していただろう。

前大統領はいかがわしい人物の助言に左右されていたという。しかし、両親がそれぞれ別の事件で非業の死を遂げた朴氏が味方と信じた人の助言に頼ったからといって、退陣はやむを得ないとしても長期刑に値するとは私にはとても思えない。それでもそれが正しいというなら、チョ氏の辞任は当然すぎるほど当然だろう。

こうした ( 家族の?)不祥事が無かったなら、チョ氏は将来は大統領になっておかしくない逸材だったかもしれない。いつかその才能を最高指導者として母国に役立てる日を期したら良い。あまり寛容とは思えない韓国国民がそれを許すとすればだが。

2019年10月13日日曜日

台風報道

19号台風が去り、首都圏は文字通り「台風一過」の好天となった。台風の被害は意外にも東京よりも北関東や長野県や東北地方の方が大きい印象である。我が家も珍しくLED懐中電灯や ( ラジオ用の ) 電池や車からケイタイに充電するインバーターまで買い整えたら空振りに終わった。

驚いたのはNHK総合テレビが昨日一日中切れ目なく台風情報を流し続けたこと。我が家の場合、台風が東京の西側を通るか、15号台風のように東側を通るかによって吹く風が東南の風 ( 北斜面にある我が家に影響無い ) か西北の風に変わる。そのため台風の上陸地点が気になり、ほとんど一日中NHKニュースをつけっぱなしだった。けっきょく台風の目が頭上を通ったのか?、東風とも西風ともつかぬつむじ風が吹いただけで15号台風の時のような被害は無かった。しかし、駅を中心とする一帯は多摩川の溢水による水害を恐れて住民に退去命令が出されたようだ。

今回、NHKテレビの一日中切れ目の無い台風報道は首都圏だけでなく名古屋でも同様だったと聞く。日ごろ九州や中国地方の台風報道に正直もういいよと感じることもあった。今度は関西以西の視聴者は首都圏の台風情報を一日中聞かされたとすれば気の毒である。最近の我が国では人命に関わる事態の報道は最優先される。それに反対するわけが無いが、もはや台風が来るはずもなく台風報道の必要を感じない人たちへの予報報道は東京中心意識の発露と思えなくも無い。

2019年10月9日水曜日

400勝の栄光に包まれて

プロ野球選手の金田正一投手が亡くなった。それで初めてかれがわたしと同年齢と知った。もうその死が惜しまれる年齢ではない?が、一度も球場でその英姿を見なかったことが悔やまれる。

高校3年の途中からプロ入りした彼の活躍に私が気づいたのはかなり後のこと。私自身が受験や大学での新生活に忙しかった ( 学生運動が盛んな時期で、ノンポリの私でも無許可デモ?に参加し、道玄坂で警官に追われた!)ことや、弱小チームだった国鉄スワローズの試合がテレビ中継されることが少なかったこともあるのだろう。はっきり記憶にあるのはやはり新人の長嶋を4連続三振した時から。

ジャイアンツ打倒を売り物にした中日の星野や阪神の村山ほどでは無かったろうが、やはり巨人軍に強い対抗心を持っていたに違いない金田がその後巨人に入団したのはアンチ巨人の私には納得いかなかった。しかし、弱小球団の投手の悲哀を多年味わった彼を責める気は無かった。

のち、テレビの野球解説でも彼の声をたびたび聴いた。元巨人の某氏が日本テレビの常任の解説者だったから金田がゲストとして参加していたときのこと。某氏が、打球を足に当てて痛がっている選手に対し「びっこをひいている」と評したが、不適切な言葉と感じすぐ自分で言い直した。ところが、「チンバになった」とさらにきつい言葉を使ったためすっかり動転し、金田に助けを求めたら、彼は平然と「足を引きずっていますね」と応じた。その機転には感心させられた。某氏は他にもある洋酒メーカーがスポンサーの試合中継で、選手の好プレーを「サントリー?のような爽やかさですね」とライバル社の名前を口走ってアナウンサーに誤りを指摘され、うろたえたこともあった。

金田正一投手のように弱小球団に所属して400勝を挙げる投手は二度と現れないだろう。冥福を祈る。

2019年10月8日火曜日

『いだてん』の時代

最近二回分のNHK日曜時代劇『いだてん』を録画で見た。じつは同ドラマを見るのは初めてである。評判が良いとは聞いていたのだが、ストーリーにそれほど関心が持てなかったのと、主演者で金栗四三役の中村勘九郎がひいきで無かったこともある。先週ぐらいから主役が阿部サダヲ ( なかなか味がある役者だ ) に変わったらしいことも見始めた一因である。

NHKが来年の東京オリンピックを盛り立てたいと考えて企画したとは思わないが、日本 ( と言うよりアジア ) に最初のオリンピックを招致するために努力を傾けた人たちの物語は或る意味で昭和史そのものである。

太平洋を横断する船旅に13日を要した時代にヨーロッパ生まれのオリンピックを日本に招致することがどんなに大変なことだったか。ようやく誘致に成功したというのに愚かな軍人たちが起こした愚かな戦争のために返上を余儀なくされ、選手たちの何人かは戦地で果てた。

最近の巨大化し商業主義に染められたオリンピックの招致に私は全面的に共感はできない。しかし、それでもオリンピックが「平和の祭典」であることは否定できない。現在とは比較にならない困難な時代にオリンピックの招致に尽くした人たちの努力は顧みられるべきだろう。


2019年10月1日火曜日

香港人の苦悩

今朝の朝日新聞の『特派員メモ』に香港の抗議デモを取材中の記者の何とも切ない報告が載っている。報道用の装備で汗だくの取材中にカフェでコーヒーを注文したら客の一人が代金を払ってくれ、戸惑う記者に「香港のことをしっかり伝えてくれ」と依頼された。その直後に遅れて来た同僚がコーヒーを注文すると店員の女性が、「次は私の番。頑張って」と再びおごってくれた!

香港政府は抗議運動の発端の逃亡者条例を撤回したが、それ以上の一切の譲歩を拒んでおり、五大要求の貫徹を求めるデモ隊と警察の抗争には火炎瓶さえ登場してきた。政府があと一項目でも要求に従えばデモ隊の面目は立つのに..........。

天安門事件の再現はまさかとは思うが楽観はできない。本土政府の狙いは香港人の分裂だろう。百日近い対立による本土の観光客の減少や商店の営業困難などが経済界への打撃となれば世論も分裂しかねない。ここはあくまで秩序立った抗議にとどめるのが賢明だろう。

それにしても香港の事態を伝え続けるしか香港人の願いに応えられないのはもどかしい限りである。香港人だけではない。子どもに米国籍を与えるため米国で出産する本土人が少なくないという ( 『産経』2018. 11. 4 )。将来の亡命の準備である。住民から針一本奪わないとうたわれた人民解放軍が建国した国の70年後の現実である。