2019年6月23日日曜日

佐渡小木半島の今昔

今朝のNHKテレビの「小さな旅」は「佐渡小木  たらい舟と洞窟の祈り」だった。佐渡ヶ島南端の小木半島は、史学科の研修旅行の目的地が佐渡ヶ島だったとき立ち寄ったことがあるので、消えかけた記憶を回復するためチャンネルを回した。

番組の前半は同地の観光の目玉であるたらい舟でさざえ漁をする老人夫婦を取り上げていた。かつて北前船の寄港地の一つだった小木は火山台地のため農地で十分な収入を得る機会は乏しく、夫は本土の高速道の工事などで一年のほとんどを過ごす出稼ぎ生活を何十年も続けた。今は好きなたらい舟漁で生計を補っているが、日本経済の高度成長を担った戦士の一人だったわけである。研修旅行後の30年あまりの時の流れは全てのたらい舟がエンジン付きとなっていた!事実に示されていた。

番組の後半は田圃も広がる同地が灌漑用水が皆無で、かつては天水でいもと麦を作り食する地区だったが、水源を求めて地区民がつるはし一本で火山岩にトンネルを17年間掘り続け、諦めかけた時に豊かな水脈を掘り当て、米飯を食することになったと伝えていた。他郷への出稼ぎ者と同様、長い困難の時期を経た住民が今はささやかな安定を得ている様子は心温まる風景だった。

佐渡ヶ島だけではない。全国の農山漁村からの出稼ぎ者たちが東京や京阪神など大都会の発展を可能にした。この人たちの晩年が平穏で幸多いことを祈るばかりである。

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