2018年3月24日土曜日

人類史500万年の鳥瞰図?

昨夜、著書『銃  病原菌  鉄』( 1997年 )により人類500万年の歴史と自然環境の相関関係を考究して話題を呼んだジャレド・ダイアモンド教授のNHKのEテレの番組『ダイアモンド博士のヒトの秘密』全12回の最終回「世界の格差は無くせるか」を見た。最初の2回のあと見ていなかったので私の理解は不十分だろうが、面白かった。

太古には集落の全員が働かなければ食えないので王様や官僚を養えず、平等だった。先進国の中で現在格差の最も大きい国は米国で、上位1%の国民が国富の25%を享受しているという。それも酷いが、国家間では最上位のノルウェー国民の収入はアフリカの最貧国の国民の300倍とのこと。どの国に生まれたかで人類はこれだけの格差を強いられているのである 。しかし、一国内の格差と異なり、不平等との批判は聞かれない。

国家間の格差では海に面した国と内陸国では後者が貧しい ( 陸上と海上の運搬費の違い ) というのは何となく分かる気がするが、天然資源の豊かな国と少ない国では意外にも前者が貧しい場合が多いという。国内資源の地理的偏在がかつてのナイジェリアのビアフラ紛争 (1967年 ) のように地域間の紛争を呼ぶから。植民地化による貧困の例としてはインド、ペルー、ボリビアが例示されていたが、格差は拡大したかもしれないが、絶対的に貧困になったかは多少疑問を感じた。

グローバル化は今まで意識されなかった貧富の格差を顕在化させるので、テロや移民難民や新興感染症 ( デング熱やエボラ出血症など ) の原因にもなる。これらへの対策としては途上国への資金援助 ( とくに医療援助 ) や、先進国の生活スタイルの改善 ( 米国は地球人口の5%だが、エネルギーの25%を消費している ) などが挙げられる。

人類が500万年の間に進化したのに動物が進化しなかったのは何故か。ダイアモンドによれば動物の生存の目的は遺伝子の拡張であるのに対し、人間はモラルによる選択が出来る点が重要であり、人間が生み出した問題は人間が解決できるという。しかし、自然科学や技術の驚くべき発展に対し人間性の遅々たる進歩を考えると、博士ほど楽天的にはなれないのだが..........。




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