2017年6月11日日曜日

退位特例法の成立

現天皇の退位特例法が成立した。何しろ退席した自由党以外は自民党から共産党までの全政党が賛同したのだから去年の天皇発言の効果は絶大だった。両陛下のこれまでの国民 ( とくに災害の被害者 )への深い配慮が国民の支持を生んだといってよかろう。

しかし、このほぼ全政党が賛成した特例法に強い不満を表明した人がいた。現天皇その人である。「陛下、政府に不満」との見出しの毎日新聞 (5月21日) の記事は天皇が「強い不満をもらされたことが明らかになった」として、「一代限りでは自分のわがままと思われるのでよくない。制度化でなければならない」との天皇の思いを報じている。天皇が直接にメディアに語ったとは考えられないから、宮内庁の高官が陛下の意向を代弁したのだろう。記事は続けて「天皇は祈っているだけでよい」などと有識者会議での「ヒヤリングで批判されたことがショックだった」との陛下の強い不満を紹介している。

私はあれほど国民に寄り添おうとした陛下が感情的に反発したことは分からぬではないし、「祈っているだけでよい」とは失礼だと思う。しかし、「象徴」というどうにでも解釈できる言葉の自己流解釈を盾に、摂政でもいけない、特例法による退位でもいけないと反発するのは「自分のわがままと思われ」ても仕方が無いのでは?  天皇が政治的実権を失っていた200年前の光格天皇の退位の決着に二年半かかったと聞く。天皇問題となると右も左もむやみに非妥協的になる現状を見れば、特例法による解決はベストではないにしても無用な対立を避けるベターな解決法だったのではないか。

私は『毎日』の記事のあと、他のメディアとくに新聞各紙がどう報道するかと注意していたが、管見の限りではどのメディアも全く言及しなかった ( 『赤旗』には目を通していないが!) 。同情に値するとはいえ歴然たる天皇の政治的介入を見過ごしてよいとは不思議である。菊の御紋に深入りしないことが何より大切ということだろうか。

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