クリントンの敗因は経済のグローバル化の影響と、移民、黒人、女性などのマイノリティー集団 ( 女性をマイノリティーに数えるのはおかしいのだが、政治的存在として ) への反感ないし不寛容の二つが重要だろう。
北米自由貿易圏 ( NAFTA ) に代表される経済のグローバル化は米国の製造業を衰退させた。かつて日本の自動車産業は経済摩擦を避けるため米国に工場を建てたが、最近は人件費の安いメキシコに工場を進出させていた。その結果米国の消費者は安い自動車を入手できたが、収入源を絶たれればそれどころではなくなる。世界的にはグローバリズムは、日本を先頭に中国やタイなど途上国の生活水準を向上させたのだが、米国の庶民には慰めにはならない。クリントンでは現状を打開してくれないと判断するのは無理もない。
メキシコ人を主とするヒスパニック系移民や黒人など非白人は米国経済を支えているのだが、将来白人住民が過半数を割る見込みとあっては心穏やかではいられないのだろう。黒人の場合が代表的なのだが、過去に奴隷として連れてきたという非人道的事実から表立った批判は出来にくいのだが、黒人所帯の2組に1組が母子家庭で、月十数万円の生活保護費を受けると聞けば不満も高まる。しかし、人種差別を口にすれば political correctness ( 政治的正しさ ) に反するとしてこれまでは政治生命を絶たれかねなかった。それを公然と口にしたトランプ ( それでも黒人の名指しは避けている ) が人気を集めるのは無理もなかった。「隠れトランプ」が少なくなかったのだろう。
それでも「史上最低の大統領選」?でも政争が白日の下に展開される米国政治は、政争を事後知るしかない中国の国民から見れば夢のように映るだろう。自国の将来を不安視して子や孫に米国籍を取らせようとする中国の幹部たちは今後も減少することはないだろう。日韓やEU諸国のような同盟国にはむづかしい局面も予想されるが...............。
0 件のコメント:
コメントを投稿