それに対する各紙の社説だが、『産経』は四島返還方針の堅持を、『日経』は領土に触れず単に交渉促進を ( つまりは領土放棄もあり ) 主張しているが、全国紙三紙は明確な態度表明を控えている印象である。いくら会談内容が不明と言っても、四島一括返還 ( 時期はともかく ) と返還なしの間の何処かで話し合いがなされていることは明らかであるのに。
これまで、専門家の予想も、袴田茂樹氏のようにロシアは一島も返還の意志なしというものまであったが、今回のプーチンの公開発言から推測すると二島返還まで譲る用意があるのでは ( あくまで推測 )。私も日本人として四島返還、少なくとも三島返還を切望するが、『産経』のようにそれ以外は無しとまでは言いたくない ( 仮に返還されても北方領土に移住する日本人が多いとは思えない ) 。『日経』の指摘するように石油輸入の中東依存 ( 8割とか ) からの脱却やロシア極東地方の経済基盤強化への協力も重要だが、日露提携は中国に対する両国の立場を強めるとの認識が肝要ではないか。
確かに四島ともポツダム宣言に言う、過去に日本が他国から奪った領土ではないが、それを言うなら千島全島が1875年の千島樺太交換条約で日本が正当に獲得した領土だろう。しかし可能性のないものを求めても仕方が無い。ウクライナ問題に発する現在のロシアの経済的苦境は日本にとり最後の機会かもしれない。米国の反対は予想されるが、中国主導のアジア・インフラ投資銀行に西側諸国で米国とともに唯一加盟せず、同じく米国の要請に応じて新安保法制を導入したのは今回のためでもあったのではないか。日米同盟は日本のためだけでなく米国のためでもあるはず。安倍首相には毅然として説得に務めてもらいたい。
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