今回の「プロフェッショナル」は書体デザインの制作会社を興したデザイナーを取り上げていた。「自分の明朝体を作りたい」と思い立ち先の見えない冒険に中年から身を投じた氏は、転職も転居 ( 東京から福岡 ) も受け入れた夫人のことに触れたとき涙にむせんだ。何しろひらがなの一字に数十の書体のヴァリエーションがあり、私にはその微妙な違いは分からなかった。
氏のマイカーはちっぽけなフィアット500。戦後間も無くの未だ貧しかったイタリア人の愛車で冷房など付くはずもなく、氏の場合助手席は扇風機に占領されていた! 氏の仕事机にはスポーツカーのモデルが二台置かれていたので、氏のデザイン好みは自動車にも及んでいるようだ。ジブリの宮崎駿監督もやはり戦後間も無くのシトロエン2CVを愛用していた。これ以上簡素な車は有り得ないと言いたい車で、私の師の一人に「あの豚のような車は何だ」と聞かれたことがある。現代ではそれがむしろ清い、潔いと感じられる。
むかし十歳年長の日本古代史の同僚に「仏像の良し悪しがまったく分かりません」と訴えたら一言、「沢山見なさい。そうすれば違いが分かる」と言われた。その後仏像をあまり見なかったので良し悪しがまったく分からないが、クルマのデザインの良し悪しはなるほど沢山見てきたので分かると自負している! 現在のマイカーは三代目のワーゲン・ビートル ( かぶと虫 ) 。初代のビートルは二回所有したが、エアコンが付かないので惜しかったが手放した。現在のそれは流石に電子化が進んでいるが、それでもディスプレイに要求項目を入れる方式ではなく、スイッチを昔風に押したり回したりする方式が残っているので分かりやすい。車なんてこの程度で良いのだと言っても高級車が買えない負け惜しみだと言われそうだが、本人は初代ほどではないが素敵なデザインだと思っている。
書体デザイナーの一字ごとのバリエーションの違いはまったく分からなかったが、六字を連ねた「わるいやつら」の書体は本当に嫌な感じで驚いた( 今回のブログって結局自慢話なの?!)。
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