2016年2月17日水曜日

ドストエフスキー的犯罪?

介護施設勤務の23歳の職員が三件の殺人を自白したという。『罪と罰』のラスコーリニコフを想起した人は少なくないのではないか。

なにしろ60年くらい以前に読んだだけなので記憶は確かでないし、私の理解力も不十分だったろう。しかし、貧乏学生ラスコーリニコフが金貸の老婆を、この世に生きている価値が無いと見做して殺害する大筋は間違いあるまい。金を借りていた?としても基本的には関係の薄い他人を殺害したラスコーリニコフと、介護担当者だった今回の職員とは立場に若干の違いはあるし、被害者数も違う。しかし他人 ( とくに老人 )を生存の価値が無いとして殺人に走った心理は共通していると思う。

窃盗犯でもあったらしい今井隼人被疑者のケースを一般化するのは問題かもしれないが、親子や夫婦といった関係でも認知症などで人格まで一変した場合、実行するか否かは別とし、殺意が浮かぶこともあり得ることだと思う。そうした場合も含む介護の仕事に従事する人には感謝を欠かしてはならないし、具体的には介護報酬の引き上げは焦眉の急だと思う。自分の仕事が社会から正当に評価されているとの納得感、充実感はこうした犯罪の減少に資すると思うし、現代社会ではそれは金銭的評価で表わすしかないだろう。

そうであってもラスコーリニコフ的疑問に答えるのは最終的には宗教や道徳によらざるを得ないのだろうか。『罪と罰』を再読するしかないか! いつ被害者になるかわからないし...........!

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