2016年2月11日木曜日

政治家への「口利き」依頼

もう旧聞だが、甘利明氏が政治資金関連の疑惑を受けて大臣を辞任した。それに対し高村自民党副総裁を皮切りに「はめられた」との声が挙がった。確かに現金授受の場面を録音したり、『週刊文春』が証拠写真を撮っていたり、不自然なことは確かだし、がんらい相手は問題のある人物だったとも聞く。しかし大臣本人や秘書が現金を受け取り申告をおろそかにしていたのなら大臣辞任は止むを得ないだろう。

ところが問題化後の世論調査では内閣支持率は報道各社の予想とは逆に上昇している。その理由は何なのか。2月2日の『東京新聞』に明治学院大の川上和久教授が、辞任発表時の甘利氏の「潔さ」「無念さ」の演出を理由に挙げている。「政治心理学」者らしい見方だが私も同感である。甘利氏の頭髪が最近とみに白さを増したのもPTT交渉が原因とは断言出来ないが、同情を呼んだのかもしれない。しかし何といっても国民が驚かなかったことが挙げられよう。

今回は金銭授受が問題となったが、多くの政治家が関係しているらしい役所などへの「口利き」は金銭が絡まなくとも問題を含む。それも有権者の側の問題である。むかし愛知県選出の代議士の某氏は土建業出身とかで選挙にはめっぽう強かった。彼も高齢となり子息が後を継いだが一期で議員をやめてしまった。同氏の耳には氏が支持者の「口利き」依頼に十分応えないこと、果ては選挙中の後援者へ提供された弁当が粗末だった?などの不平が聞こえ、政治家稼業に嫌気がさしたのだった。父親に似ない誠実そうな?風貌を思い出す。

私も知人が初めて外国に行く際、選挙区の有名代議士に現地の領事館への「声掛け」を頼んだと聞いて呆れたことがある ( たぶん、後援会員だったのだろうが )。結婚披露宴への出席依頼から子弟の就職の「口利き」まで議員に依頼する選挙民が多いとは良く見聞する。政治家を非難するだけでは済まない現実がそこにはある。


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