春の松本平が美しいことは良く知っているが、それには背景の北アルプスの眺望が必須なので天候が鍵となる。好天気が二、三日は続きそうだったが (それが先週を選んだ本当の理由!)、珍しく気象庁の予報通りとなり、山肌が雪でおおわれた後立山連峰が美しかった。半世紀前、爺が岳、鹿島槍ヶ岳、五竜岳と続く縦走路を仲間と歩いたのは盛夏だったが、その頃は元気だったと感じ入った。
桜は染井吉野の満開と八重桜の満開とのちょうど狭間だったが、同じ八重桜でも仲間より早く咲くつむじ曲がりも結構あった。最近人気の大王わさび農場は四回目?の訪問だったが、やはり今回がベストの時季だった。午前早くだったせいか見物客は九割方中国人 (多分!)で、日本人は完全な少数派。しかし一人でも多くの中国人が雪の北アルプスと八重桜を楽しんでくれることは素晴らしいことである。二回ほど中国人ペアに声をかけてシャッターを押してあげ感謝された (はず )。
帰路は姥捨から戸倉に下り、上信越道を利用した。堀辰雄は古今集の詠み人知らずの歌「我が心慰めかねつ更科や、姨捨山に照る月を見て」(母親を山に棄てた息子の悔悟の歌とか。大和物語 )をこじつけて、この地に赴任した国司の妻 (菅原孝標女 )が都を恋うる望郷の歌としたが (『姥捨』 『更科日記』)、その気持ちは分かる気がする。ともあれ、数時間で帰宅した私には悲しいかな特別の感慨の歌は思い浮かばなかった。高速道が悪いのか!
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