自分の金でより高級なものを求めるのは個人の自由に違いない。ブランド品志向も同様である。しかしバブル景気の前後、パリのブランド品店に日本人旅行者の行列ができ、店員は軽蔑したようなぞんざいな対応だったとの記事を読み情けなかった。同胞にあまり恥ずかしいことをしてくれるなと願うのは余計なお節介なのか。
第二次大戦中のインドネシア方面軍の司令官で戦後戦犯に問われた今村均大将は、日本で十年の刑期を果たすよりも部下たちが刑期を果たしている悪条件のマヌス島 (インドネシア ) での受刑を希望して同地に赴いたことで知られる数少ない昭和期の良心的な将軍だった。彼は若い頃駐在武官として? 英国に滞在したが、帰国の列車が動き出したとき、滞在中の自分の振る舞いが日本の名誉を傷つけることなく終了したことに安堵の涙を流した。彼の場合、英国でも多分軍服を着用していたので滞在中の緊張は人一倍だったのだろうが、戦後の1960年代でも、心の片隅にでも自分のかく恥は日本の恥だとの感覚でいた留学生はいたと思う。
プレミアムの時代、外国に赴かなくともブランド品は自由に入手できるようになった。海外でブランド品店に行列する日本人はもう居ないと思いたい。
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