私は報道ステーションをたまにしか見ないが、問題の場面を偶然目にしていて驚いた。ただ私が驚いたのは古賀氏と、その発言 ( 自分の番組下ろしが官邸の意向を忖度したテレビ局幹部の圧力によるとの ) を否定する古舘キャスターとの思いがけない「内ゲバ」に対してであって、政府与党に対する古賀氏の発言内容ではなかった。
私は古賀氏が自己の信念に忠実な人であることに日頃感心する一方、その主張がときに極端に走りがちであるとも感じていた。しかし今回に限って言えば氏の主張には一定の根拠があると感ずるので、それを否定するキャスターの発言には疑問を持った。舞台裏で古舘氏が古賀氏に「あなたを守り切れなくて申し訳ない」と謝っていたならば、キャスターの表の発言は視聴者への裏切りであろう。古賀氏がキャスターとの裏のやりとりを密かに録音していたというのにも驚いたが、自分が嘘つき呼ばわりされるのは耐えられないと氏が考えたのは同感できる。氏の発言には疑問の余地はない。週刊誌によれば古舘氏のプロダクションに30億円 ( 氏個人にはそのうち13億円 )がテレビ朝日から毎年支払われているとのこと。事実なら古舘氏はテレビ局への恩義を重視したのだろう。氏はその程度の人間なのであり、テレビ業界から追放される覚悟で真相を暴露した古賀氏の方がずっと立派であるとも言える。
自民党が古賀氏や報道ステーションに日頃から不満を抱いていたとしても、今回の「聴取」は大人気ないと感ぜざるを得ない。局側には「不偏不党」との放送法の規定は守って欲しいが、正しい政府批判ならば表明して当然である。もっとも、自説の主張の前に事実の公平な提示を優先して欲しいとは思うが。
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