2014年9月6日土曜日

関西空港と成田空港

関西空港が開港二十周年を迎えたという。想定した発着数に及ばす今も一兆二千億円の借金を抱える万年赤字空港を持て余した政府は二年前に黒字の伊丹空港との経営統合を実現したが、それでも立ち直れず、今度は運営権の民間への売却を考えているという。運営権を売却した空港の例は世界で少なくないようなので一概に売却(  当然外資も名乗りを挙げるだろう)に反対するつもりはないが、赤字空港を作った責任をうやむやにして欲しくない。

そもそも関西空港の建設は、伊丹空港の騒音被害が大きいとして地元自治体が廃港を求めたことに始まる。頭上を超低空で離着陸する( 実感は頭上をかすめるに近い )大型機の映像をテレビなどで見て私などもこれは人道問題だと思った。ところが関西空港が開港すると、周辺自治体は一転して伊丹空港の廃止反対に態度を変え、今日に至った。現在、西航する機上からは、その後造られた神戸空港( これも赤字 )を含め三空港が同時に見下ろせる。とても経営的に三空港が併存できるとも思えない。

ジョン・F.・ケネディの大統領就任前の著作に「勇気ある人々 Profiles in Courage 」( 英治出版 2008、別の題名でずっと以前に邦訳本があった? )がある。実際はソレンセンがゴーストライターだったようだが、選挙民の圧力に抗して道理を貫こうとした政治家たちの列伝である( 未見 )。関西の自治体の首長にはそうした政治家は居なかったということか( 神戸空港の反対運動には田中康夫氏が加わっていた )。

関西の悪口を言うつもりは無い。関東でも多年、成田空港の発着数増加に反対してきた成田市ら周辺自治体は、羽田空港が国際化すると態度を一変させた。今は格安航空機の誘致に熱心なようだ。そのうち、あれほど反対してきた滑走路の増設にも賛成するかも。今はただ、国費投入を当てにしてくれるなと願うばかりである。

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