2014年7月5日土曜日

北朝鮮の本気度

拉致問題を始めとする北朝鮮との間の諸懸案を解決するための日朝交渉がようやく始まった。拉致家族だけでなく全国民にとっても交渉の進展は悲願であろう(私は全国民の悲願などという言葉を軽々しく使いたくも聞きたくもないが、今回はその禁を解きたい)。交渉は始まったばかりで楽観を許さないとはいえ、私は好結果の可能性は十分あると思う。

その理由は北朝鮮が国民に対してこの交渉開始を日本側と同じ言葉で公表していることである。交渉の進展を望んでいなければ、そうはしないだろう。彼らが本気だと判断するゆえんである。本気である理由は身勝手なものが大半であろう。経済的苦境の打開は無論最大の理由だろうし、米日韓の連携に亀裂を生じさせること、さらには中韓接近への腹いせさえ考えられる。しかし理由はどうあれこの機会を逃してはならない。そのためにはどんなに正当な要求であっても過去の責任の追及に固執してはならない。

金正恩主席にとって父親の犯罪を一部でも認めることが大きな一歩であること(どうせ部下に責任転嫁するだろうが)を理解すべきである。その責任を追及して彼の面子を失はせて得るものはない。相手の好ましい方向への変化を促進することが他の何よりも優先されるべきである。彼は建築中のマンションの崩壊事故の責任者に住民への謝罪を命じ、その事実を公表させた。従来は考えられない処置である。これを過小評価すべきではない。外交の第一の目標は相互の関係の改善であるべきで、過去の責任の追及にこだわってはならない。

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