2014年7月19日土曜日

ウクライナとガザ

ウクライナ問題は解決に向うどころかマレーシア航空機撃墜という惨事まで惹き起こしている。政府軍と親ロシア派民兵の武力抗争も愚かで、現地住民にとって災厄そのものだが、それでも赤の他人(他国民)に迷惑をかけたわけではなかった。今回は手違いとはいえオランダ人やマレーシア人といった全くの他人を巻き添えにした点で悪質度は一段と進んだ。
犯人はまだ特定されたわけではないが、親ロシア派のミサイルであることはほぼ決まりつつあるようだ。ロシアが供給したミサイルかどうかはまだ確かではないが、その可能性も大きい。オバマ大統領がロシア非難を強めたのもやむを得ない。
ロシアはせめて事件を奇貨(使いたくない言葉だが)として親ロシア派に、交渉による解決を強力に迫らなければならない。ポロシェンコ政権は曲がりなりにも選挙の洗礼を受けた政権であり、その正統性は否定できない。

航空機撃墜事件でやや後景に退いた感もあるが、ガザのハマス勢力とイスラエルの衝突もいちだんと悪化し、ガザ住民の死者数はマレーシア機のそれに迫りつつある(負傷者はそれに数倍する)。パレスチナ住民とイスラエルの紛争は少なくとも数十年をけみし、それを抜きにして責任を論じることは出来ない。しかし、彼我の力量を冷静に考量するのも政治家の役割である。少なくとも、両者の犠牲者数が二百数十対二という大差である現在、ハマスのミサイル攻撃が住民のためになっているとは思えない。エジプトの休戦提案をハマス側が拒否したが、住民が拒否を望んだとは到底思えない。問題の解決はひとまず交渉に委ね、力量(政治的力量を含め)を涵養することに努めるのは敗北ではない。

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