2014年5月7日水曜日

馬肉とゴルバチョフ

「馬肉に景気の追い風」と題して新聞に、最近高価な馬肉料理が人気を集めているとある。戦後しばらくは、あるいは戦前から馬肉は牛肉より一段低く見られていたと記憶する。それが逆転しているとすれば希少価値故としか思えない。

十数年ぐらい前、アイスランドへのツアーに参加した。地熱発電所の温水を利用した大規模な温泉ブルーラグーンや大間歇泉ゲイシール(英語のガイザーgeyserの語源とか)などの観光地めぐりもさる事ながら、寒冷地のためか自然林は殆んど無く(あるのは住居のまわりに植えたものだけ)、広い原野は放牧地となっていた。それも半分は馬の放牧に使われており、アイスランドの子女は子供の時から乗馬に親しむとの説明があった。しかし子女の乗馬にこれほどの数の馬が必要なわけが無い。むかし、アイスランド人は馬肉を食するのでその点だけは他のヨーロッパ人にうとまれて居ると読んだ記憶があったので、乗馬のためにこんなにたくさんの馬が必要かと日本人添乗員に詰問(?)したら、現地ガイドと二言三言相談して意を決したように、食用でもあると認めた。しかし、日本にもたくさん輸出していると逆襲された。私には馬肉食をうとましく思う気持は無かったのに.....。

小国としては見どころの多いアイスランドの近年の観光スポットはレーガン大統領とゴルバチョフ書記長のレイキャビーク会談(1986年)の開かれた瀟洒な住居(迎賓館?)であった。冷戦解消の一里塚となった記念すべき会談で、建物の中には入らなかったが、ゴルバチョフを尊敬する私には感慨ががあった。彼を打倒する保守派の失敗したクーデターの第一報を私は新潟から小樽に向かうフェリー上で知り不安に駆られた記憶もある。冷戦解消という難事を血を流すこと無く実現した彼に対するロシア人の評価が極めて低いのは不当としか思えない。

無論かれ一人の功績と言うつもりはない。ジスカールデスタン仏大統領の回想録を読むと、前任のブレジネフの意中の後継者だったらしいロマノフも立派な人物だった。野たれ死に同然の旧ソ連の崩壊だったが、幹部たちの全てが建国時の理想を忘れていたわけではない事実は評価できるのではなかろうか。

リーマン・ショック後のアイスランドの経済危機も過去のものとなったようだ。同国の馬肉も鯨肉も大いに消費して、冷戦解消に協力した小国を助けたい!?

0 件のコメント:

コメントを投稿