2014年5月5日月曜日

路線バスの降り方?

新聞に「バスはそっと発進・停車して」と題する77歳の女性の投書が掲載されていた。それによると日本バス協会がこれ迄の「バス停に着いてから」席を立つようにとの呼びかけを「扉が開いてから」に変えたという。投書者はそもそも他人に迷惑をかけたくないから早めの準備として立ち上がるので、「扉が開くまで」立つなでは「余計に焦ります」とのこと。同じ高齢者として気持ちは理解できる。
しかし、バス会社としてはあくまで乗客の事故を防止するために規則を改めたのであろう。(それも理解できる)  だが、モタモタしていると他の乗客が感じているのではないかとの高齢者の「引け目」までは予想できなかったということだろう。

それで思い出したが、むかし通勤途中のバスが急ブレーキをかけ、立ちかけていた老婦人が二、三メートル吹っ飛んだことがあった。原因は、交差点の信号はバスに対して青なのに、自転車を押す人が横断の気配を見せたことだった。結局横断しなかったが、バスのフロントガラス越しに見ていた私もあっと叫びそうになった。老婦人とバス会社の間で何かが起こりそうだと予感したので、下車するとき運転手に名刺を渡し、証言する用意があると告げた。同じドライバーとして彼を処罰対象にさせたくなかった。

予想より遅く数日経ってから、バス会社からの電話があった。警察はブレーキ痕がないと言っているので急ブレーキではなかったのではないかとの質問だった。老婦人の自己責任説とも取れる発言だったので、急ブレーキでなければ老婦人が吹っ飛ぶわけが無い。ただ言いたいのは、運転手として人身事故を避けようとしたら他に方法がなかったと感じると答えた。

その後のことは不明だが、狭い道路に自動車、自転車、歩行者があふれている現状では、簡単な正解は無さそうだ。
以前、同じように自動車、自転車、歩行者があふれている中国江南で、来日経験もある通訳兼バスガイドが、日本で一番印象深かったのは歩行者優先がきっちり守られていることだったと語り、中国では三者間のルールは「度胸優先」ですと言った。(中国に行った人は、これが名言だと分かるだろう)   ところが数年後の中国で別のガイドから全く同じ言葉を聞いた。自嘲の言葉としてガイド仲間で知られているのだろう。しかし、自嘲は自惚れよりもよほど大人のしるしである。隣国が国家関係でもさらに大人になることを願うばかりである。

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