ドネツクに派遣された朝日新聞の記者はキエフの新政権を支持する「ファシスト集団」を暴くロシア・メディアに対し「映像の信頼性はどう調べたのだろう」と疑問を呈している(8日夕刊)。この記者は二月下旬(三月上旬?)のNHKテレビ(フランスのF2)で、キエフの若者たちが戦闘服の腕や彼らの事務所の扉にナチのカギ十字ではないがよく似たマークを付けていたのを派遣前に見なかったのだろうか。また、確か同じ番組で、それまで広場の若者たちを支持してきた若い女性が、彼らがロシアテレビの報道をそのまま流したディレクターに暴行し辞表を書かせている場面を見て以来、もう何が正しいのか分からなくなったと嘆いていたのを知らないのだろうか。キエフの新政権は戦闘服の若者たちをどうすることも出来ない無力な人たちなのである。
どんな欠点があれ仮にも自由な選挙で選ばれた大統領を変えるのは次の選挙でなければならない(事実上自由な選挙が無かった嘗ての東欧共産圏と同一視は出来ない)。その一線を越えて暴力で政権を打倒すれば、反対派が同じ手段に出ることは当然予想される。西側諸国の指導者は戦闘服の彼等への共感を示してはならなかったのである。プーチンの言うことも聞かぬ親露派の若者を止めるにはウクライナの現政権が正当性の無い者同士の彼等を交渉相手と認めることから始めるしか無いだろう。それがどれほど不愉快であっても。無論ロシアもこれ以上の事態の悪化を防止するため力を尽くさなければならない。しかしひとたび大規模な流血事件になればプーチンといえども座視は出来なくなろう。手下たちを抑えられなくなった第一次大戦の再現ともなりかねない。
0 件のコメント:
コメントを投稿