2025年5月2日金曜日

小さな庭の春

  私が中学生か高校生の頃(たぶん後者)、国語の国定教科書に永井荷風の『花より雨に』と題する随筆が載っていた。内容は自家の庭の春から初夏までの変化を美しく綴った文章。荷風が『墨東奇談』などの作家であることは無論知っていたが、文章家としても大変高い評価の人であることは当時は知らなかった。

 永井家の庭と我が家のそれと比べるなど身の程知らずにもほどがあるが(時代も違うし)、我が家の小さな庭も数種類の花が今を盛りと咲いている。 夏みかんの木が無数の小さな花をつけているが、中型の鳥(椋鳥? ひよどり?)が毎日朝から枝を揺らしている。花を食べているのか、蜜を吸っているのかは分からない。地上で咲いている花は鉢植えが主だが、いつの間にか生えてきた紫蘭やミヤコワスレも咲いている。青系統(少しでも)の花が好みの私にはどちらも見ていて飽きない。                                     

しかし、草木は庭の主人の意向など気にしないので、今現在隆盛を極めているのは雑草である。その緑色も悪くはないのだが、荒れた庭の印象ではある。と言って除草剤を水に溶いてふりかける気にもならない。すべてなるようにしかならないこの頃である。

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