ビルマの軍部によるクーデターにより文民政権が打倒されて以来、同国は深刻な内乱状態にあり、先日の国難とも言うべき強い地震もこの対立を緩和しなかった。軍事政権と反軍部勢力の対立はそれほど深刻なようだ。
ところで、軍部によるクーデターと言えばビルマの隣国のタイはこれまで頻繁に経験してきた。現在のタイ政府もその例外ではない。しかし、ここでは軍部と反軍勢力の間の内乱には滅多に発展しなかった。どちらの側もいざとなれば王室が介入してくれると予想できる。しかし、国王のいないビルマではクーデター側は絶対に負けられない。負ければ死刑を含む厳しい処罰が予想されるから。
これは何もアジアに限ったことではない。ヨーロッパでも1936年に始まったスペイン共和国の共和派政府と保守派の軍部はどちらも外国勢力の助けを借りてまで激しい内乱を展開した(『誰がために鐘はなる』)。 第二次大戦後、スペインでまさかの王制復活を見たのも、苦い経験を二度と繰り返してはならないとの国民的合意があったからだろう。王政が常に政治的対立に中立的とは言えないとしても、国を二分する対立を緩和する効用は否定できない。
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