2024年7月12日金曜日

兄の葬儀

 週初、95歳の兄の葬儀が新大久保のルーテル派の教会で営まれた。当人の年齢からも、また多年愛知県で医院を営んでいた経歴からも親族以外の出席者は考えられないので、不釣り合いな大きな教会堂だったが、久しぶりのステンドグラスの美しさが印象的だった。平瀬家は神道の家柄だったが、先に入信した兄嫁の希望に従い?、兄もキリスト教に入信していた。

 私は式の前日に足を痛めていたので新宿駅からは教会へも中野区の火葬場もタクシーに頼るほか無かった。そのため新大久保の有名な韓国料理や中国料理のレストラン街はタクシーの車窓から眺めるだけだったが、壮観ではあった。

 しかし、久しぶりに郊外から都心それも下町を訪ねて圧倒される思いだったのは、隙間なくびっしりと立ち並ぶ大小の建物群で頭上の抜けるような青空が川のように目に映じたこと。思わず『智恵子抄』の「東京には空が無い」の語句が頭に浮かんだ。

 帰路が通勤ラッシュと重ならないよう、そのあとの食事会は欠席した。十年に一度ほどの親族の集まりに出席できないのは残念だったが、体調からしてやむを得なかった。それでも息子は久しぶりに二人の従兄妹とその家族との再会を満喫したようだ。親族への兄の最後の貢献ではあった。



0 件のコメント:

コメントを投稿