こどもの日にちなんでか、『朝日』の「天声人語」は芥川龍之介の短編小説『河童』の一節を紹介している。河童の世界では父親が母親のおなかの子どもに「生まれたいか」と聞き、「生まれたくない」との返事ならお産は取りやめとなる。続けて天声人語子は現代の日本を、「7人に1人の子どもが貧困に苦しむ。虐待があり、いじめがあり、若者の高い自殺率がある」と続ける。
戦争を子どもとして経験した私からすれば、どうして現代の子どもの状況をそんなに暗く描くのかと言いたくなる。雑炊にかき卵が入っているのを喜んだ時代。私の入った防空壕が1トン爆弾で揺れ、家内は焼夷弾に逃げまどった(自宅全焼)時代。 虐待やいじめはいつの時代にもあった。中学時代の草野球の当初は布グローブも多かった。田舎でも弁当がふかし芋の生徒がいた。
ただ、塾や習い事は習字とそろばん以外は例外だった時代、 私立中学入学のための勉強は稀だった時代と現代の子どもとどちらが幸せかと問われれば何とも言えない。韓国や中国、とくに前者の入試競争や入社競争に至っては少子化の一因ともいわれる(自殺率と少子化は密接な関係があるのでは?)。それでも、藩の重役の子と下級武士の子の将来の差に福沢諭吉が怒った時代と比べればやはり進歩なのだろう。今後とも子供にとっての機会均等をいっそう進めることに反対の余地はない。
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