2023年4月30日日曜日

正義を使い分けるメディア

 今日の 朝日新聞に「私たちの言論は自由か」「抑圧され はびこる萎縮」との見出しで、2頁にわたる論評記事が載っている。だが、萎縮に関してメディアは責任は無いだろうか。

 最近、ジャニーズ事務所のボスの性犯罪が次々と報道されている。メディアがこれまで知らなかったなどとは思えない。しかも既に20年前に問題化し、裁判所は刑には服させなかったが犯罪事実は認定していたとのこと。当時、メディアが広く報道していたら今回の被害はずっと稀だったに違いない。民放テレビ(大抵は新聞社系)はジャニーズ事務所を敵にしたくなかったと解するほかない。

 もう覚えている人は少ないだろうが、1974年の「八鹿(ようか)高校事件」(ブリタニカ社と平凡社の百科事典に項目あり)を思い出す。当時、部落解放同盟の差別糾弾闘争は激しさを増していた。兵庫県の八鹿高校の生徒たちが差別研究会設立を要求してハンストに入ったのに対し、学校側が応じなかったことが原因となり、解放同盟員が教員たちを監禁し負傷させた。しかし、メディアは「糾弾闘争」を恐れてか曖昧な態度をとった。この明白な犯罪に対し政党も共産党以外は逃げ腰だった(その後、解放同盟側も反省し、激しい糾弾闘争はおさまった)。

 結局のところ、新聞中心のメディアは自社の経営に悪影響を及ぼす恐れがある場合は、本気で被害者の側に立つ気はないとしか思えない。

2023年4月25日火曜日

福祉申請の手続きの面倒

 腰痛の治療をある専門クリニックで受けたが、一向に良くならないので別のクリニックで治療することにした。変更先でこれまでの経過を聞かれたので止むを得ずこれ迄のクリニックの名を挙げた。同じ市内のいわばライバルの名であり、当然対抗心を持ったのだろう。これまでは市販のコルセットを使用していたが、今度はほとんど有無をいわせず小生の体の寸法をきちんと計測し、一週後までに現物を用意するという。その代わり実費の8割までの高齢者補助があるという。

 さすが福祉国家日本と感心したが、そのための申請書類が5種必要になった。4種目の本人確認の書類は運転免許証かマイナンバーカードの写しとあるが、5番目の書類は「被保険者のマイナンバーが分かるもののコピー」とある。これでは4番目の項目は無意味ではないのか?

 最近、 生活困難者なのに生活保護の申請をしないケースが少なくないと聞く。主な忌避の理由は親族の収入調査の要求とメディアは告げる。しかし、それだけなのか。コルセット一個の実費援助に署名書類が5枚必要なら生活保護の申請には何枚必要になるのか。手続きの面倒さも申請を断念させる理由の一つなのではないか。そう思うのは私が超高齢?のせいなのか。

2023年4月18日火曜日

今日の各紙から

  月曜日は各紙の世論調査の結果が発表される日のようで、今日は『読売』と『毎日』の調査結果が載っている。内閣支持率については『読売』は支持47%、不支持37%。 『毎日』は支持36%、不支持59%だった。なるほど、両紙の政治的立場を反映していると一瞬思ったが、考えてみればこれは両紙の読者の数字ではなく、国民対象の結果の数字である。それがこれほど違うとは.....。新聞の世論調査の数字とはその程度のものなのか。

 日本の学術会議と政府の間の対立が前内閣時代から続いており、今回あらためて学術会議法の改正をめぐって『朝日』が1ページ全面を使って学術会議支持の論陣を張っている。それに対して『読売』が小さい扱いなのは予想通りと言える。しかし、『朝日』が学術会議が一丸となって反対しているかのように描いている一方、『読売』によると「政府とのコミュニケーションを続ける必要がある」との意見も出たとのこと。 婉曲な表現ながら『朝日』の伝えるほど反対一色でないことを示している。また、『朝日』によると日本のノーベル賞受賞者8人の反対声明に対して各国のノーベル賞受賞者61名が賛成を表明したとのこと。しかし、それらの国の中で日本の学術会議のように軍事技術の研究を禁じている国が一国でもあるのだろうか?

 

2023年4月14日金曜日

大阪のIR計画に賛成!

  大阪にカジノを中心とした「統合型リゾート」(ほかに国際会議場やホテルなど)を建設するIR計画がいよいよ認められるという。それに対して国民の射倖心を煽るとの反対論も根強い。私は計画に賛成である。

 理由の第一は東京へのますます進む一極集中の危うさである。我が国ほどの規模の国家なら少なくとも複数の中心があることが望ましく、また健全だと思う。関東大震災以来、南関東は巨大災害を経験していない。その間、地下水の汲み上げで地盤は沈下しており、逆に温暖化で海水面は上昇している。いったん大地震や大暴風が襲えばその被害は半端ではないだろう。京阪神の経済力の涵養は欠かせない。

 カジノが国民の射倖心を煽る可能性は無論絶無ではない。しかし、シンガポールなどの統合リゾートは一部の金持ち以外の庶民がそこで散財する場所ではない。私は勧められてラスベガスのカジノをのぞいたことがあるが、けっきょくパチンコのようなもので遊んだだけ。それ以上奥に進む勇気など一庶民には無かった。

 射倖心を理由にカジノに反対する人たちはなぜパチンコに反対しないのか? カジノよりもはるかに参加しやすく、事実その魔力に囚われて犯罪に疾ったり、それほどでなくとも家庭崩壊を起こす例はパチンコが圧倒的ではないか。もちろん庶民の気晴らしの場はあってよいが、現在のような野放し状態を放置してIR計画に反対する人たちを私は理解できない。

2023年4月9日日曜日

必要な値上げは認められるべき

今朝の『朝日』の経済欄『フロントライン』は最近の私鉄各社の運賃値上げを報じている。 値上げの直接のキッカケはコロナ禍による乗客数の減少である。しかしコロナの流行が下火になってもそれをキッカケとする「在宅勤務へのシフト」のため乗客数は旧に復していないという。

 コロナ禍の影響に限らず、最近は各社ともホームドアの設置を進めている。そうした状況下で私は運賃値上げはやむを得ないし、説明以上の弁解をする必要などない当然の権利だと思う。 

 私が都心に出るとき利用する私鉄は戦前戦後の路面電車タイプの車体から、いまや8〜10輌の連結車両で、通勤時の混雑を除けば利便性は大幅に向上している。その間、高架化計画を一部取りやめるとの理由で運賃を1割ほど下げたこともあった。

 事は鉄道だけではない。卵を始めとする食料品から電気やガスの料金などこのところの値上げ攻勢は痛いが、諸外国の生活費の値上がりと比較すればそれほどではない。値上げ一般とは少し違うが、米国などではイベント開催地のホテルの宿泊料金は通常の数倍になったりするという。我が国でも一定の特別料金期間は当然あるだろうが、数倍などに上げたら悪評が残るのでは? 我が国では「商人道」といったものがまだ影響力を残していると思う。

2023年4月7日金曜日

カード社会化は誰の利益か?

  銀行預金の出し入れは別とし、私はカードは交通機関用のPASMOとガソリン給油用以外はあまり使わない。頭が古いので紛失して誰かに悪用されないかと思ってしまう。しかし、政府は経済のAI化の推進は必要だと言うし、小売商店などは釣り銭を用意する手間は省けるので、カード社会化に協力しない自分をちょっぴりだが心苦しく思っていた。しかし、今朝の『毎日』の投書欄『みんなの広場』の「キャッシュレスよりも現金で」を読んで何が何だか分からなくなった。

 小商店主の投稿者によれば、カード決済は「結局はツケです。入金は1ヶ月近く後になることもあります。ツケがきちんと支払われたか、入金チェックは大変です」。その上、カード会社への使用手数料もかかる。「いいことはひとつもないのが実感」とのこと。

 これは一体どういうことなのか。経営規模の大小で利便性は逆になるのか?  これまで私は政府は税金額を把握しやすくするためカード化を推奨するのかと推測(邪推)してきたが、そうした効用はあるのか?  どんな施策にも利益不利益はあると割り切るべきなのか?  零細企業の不利益はやむを得ないのか?  ともあれ私はますます現金支払い主義者になりそうだ。

2023年4月1日土曜日

戦争を終わらせることの難しさ

 ロシアとウクライナの間の戦争が大方の予想を超えて満一年続いている。通常なら弱い側が敗北して終わるだろう。しかし、今回のように比較すれば明らかに弱い側のウクライナでもNATO諸国の支援があれば戦争継続は不可能ではない。逆にロシアの側も面目からも小国ウクライナに負けるわけにはいくまい。
 それでも双方とも限りなく戦争を続けることは出来ない。一方のウクライナについてはNATO側の支援疲れになればウクライナはいかに不服でも戦争を続けられまい。他方、ロシアもウクライナに負ければプーチンの面目丸つぶれとなる。かといって国民の声が彼を退陣させる可能性は大きくない。となれば双方がどこかで妥協するしかない。NATOはウクライナをけしかけてはならない事はもちろんである。
 思えば1914年、オーストリア皇太子がセルビア青年の銃弾に倒れたときそれが何年も続く大戦のきっかけとなると思った人は少なかった。しかし戦争に双方の威信がかかったら誰も止められなくなった。
 当時と比べれば人類も賢くなったと思いたい。まして今回は原水爆という世界を荒廃させかねない手段を人類は手に入れている。ウクライナもロシアも勝利を目指してはならない。