2022年11月17日木曜日

キューバ・ミサイル危機の回顧

  NHKのBS放送の『映像の世紀』は現代史に関心を持つ者にはたいへん興味深いシリーズ番組で私も直接ないし録画で数多く見ている。今日、6月27日に放映された『キューバ危機』を見た。なぜこれほど遅れて見たかというと、ロバート・ケネディの『13日間』を読んでいた上に、事件当時にいよいよ原水爆戦争かと恐怖に駆られた体験を思い出したくない故もあった。

 ということである程度は事態を知っていたつもりだったが、ケネディ政権内の対立や葛藤を実写フィルムで紹介した番組の印象はやはり強烈だった。

 事件の発端は米軍のU2偵察機がキューバに建設中のミサイル基地を発見したためとは誰もが知っていたが、じつはソ連内のスパイのペンコフスキーが最初に情報をもたらしたため、偵察飛行となったと初めて知った。その後の米政権内の極秘討議では、日本空襲の主唱者で実行者だったカーチス・ルメイら軍最高幹部たちが一刻も早い爆撃によるミサイル除去を主張し、大戦当時は一海軍兵だったケネディには巨きな圧力となった。しかしキューバへの海上封鎖作戦によりソ連が折れ、トルコの米ミサイル基地の閉鎖との交換でミサイル撤去となったが、その間我が国でも親ソ派の人々は米国の「海賊行為」を糾弾した!

 こうして戦後最大の国際危機は解決に向かったが、自己の信念に従ってスパイ行為をしたペンコフスキーはソ連内で死刑となったという。彼の行為と悲劇をわれわれは忘れないようにしたい。

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