2022年5月19日木曜日

北欧へのNATOの拡大は賢明か

 ロシアのウクライナ侵攻にうながされてフィンランドが70年ぶり、スウェーデンが200年ぶりに中立の立場を捨てNATO加盟を希望している。昨夕のどこかの局のニュース番組を見ていたら人口65万人の首都ヘルシンキは90万人分の地下シェルターを備えるという。スウェーデンは全人口の8割分の地下シェルターを備えるとか。永世中立国と誰もが知っているスイスでも、観光都市ルツェルンは市の人口以上の地下シェルターを備えると読んだ記憶がある。

 生活様式や居住形態の違いも影響しているとは思うが、我が国で地下シェルターを備えた家など大都市でも1割も無いだろう。最近我が国で仮想敵国のミサイルに対抗して敵基地攻撃野力を保有すべきとの議論が始まったが、反対論が強いようだ。しかし、反対論者も地下シェルターが周辺国を刺激するとまでは言えないはず。結局のところ日本人は困難を直視したがらない国民のようだ。

 フィンランドとスウェーデンが早急なNATO加盟を目指しているのはウクライナ侵攻でロシアにも余力がなくいまが好機と捉えているのだろうが、それでは冷戦時代の二大陣営の対立の再現となろう。米ソ冷戦時代のNATOの功績は多大だった。当時ソ連は口先では「革命の輸出」は目指さないとしていたが、共産主義を世界に拡大することを歴史的使命としていた。一方、現在のロシアが求めているのは大国の地位の承認(と安全)であって世界の共産化ではない。

 NATO加盟にはメンバーの一国でも反対すれば認められず、今のところトルコは反対を唱えている。現在のトルコのエルドアン政権は強権的で私は強い反発を抱いているが、この問題ではトルコの拒否権行使を期待したくなる。

 訂正  前々回に「壁際の魔術師」と書いたが「塀際の魔術師」の誤り。悪しからず。

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