2022年3月11日金曜日

ウクライナ紛争の行方

  ウクライナ紛争が首都キエフの攻防戦に近づいている。以前に本ブログで言及したことがあるが、前大戦に際しチェコスロバキアはナチスドイツ軍に抵抗せず、首都プラハは破壊を免れたが、ポーランドは徹底抗戦を選び、旧市街を徹底的に破壊された。どちらが正しかったなどと単純に軍配を挙げるつもりはない。大国に翻弄された歴史を持つポーランドにとってはワルシャワ攻防戦は輝かしい歴史の一部だろうし、「百塔の街」と言われ世界にとっての遺産であるプラハ市街が残されたことは後世への貢献である。

 伝えられるところでは、ロシアは休戦条件としてウクライナの中立化(NATO非加盟)と非武装化およびクリミア半島のロシア帰属を要求しているとか。以前に書いたように私はNATO非加盟は不当な要求とは思わないし、クリミア半島のロシア帰属も同様と考える。十九世紀中葉の露土戦争では同地のセバストポリでトルストイが英仏土連合軍と闘い、チエホフが晩年ヤルタに住み『犬を連れた奥さん』や『桜の園』などの名作を書いた。前大戦末にはロシア皇帝の離宮のリバディア宮殿でルーズベルト、チャーチル、スターリンの三巨頭が世界の今後を議した。

 紛争の最も望ましい解決はロシアの世論か軍部がプーチンを退場させることだが、世論にその力は無さそうだし、軍部の介入は内部対立から核戦争を引き起こす危険がある。ウクライナにとって欧米の軍事的支援は敵わぬ望みであり、戦争が長引くほど犠牲者は増加し、休戦条件はますます不利な「城下の盟」となろう。

 

 

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