2022年3月2日水曜日

マッカーサーとトルーマン

  朝日新聞の土曜付録 beに政治学者で鉄道史家(何より鉄道ファン)の原武史氏の『歴史のダイヤグラム』と題するコラムが毎週載っている。今週は「列車に乗らないマッカーサー」との見出しで、戦後しばらく天皇以上の存在として日本に君臨したマッカーサーを取りあげている。

 日本での元帥の連合軍最高司令官の任期はほぼ私の中学から高校前半にあたり、原氏によると在日中鉄道を利用したことはなかったという。昭和天皇の方が日比谷の司令部を訪ねたとの指摘に当時の日米関係が読み取れる。

 まさに日本に君臨したマッカーサーが、不服従との理由でトルーマン大統領に突如解任されたとき、文民優位とはこういうことかと日本中が驚いた。元帥の帰国時には沿道に二十数万人が別れを惜しんだ?が、帰国途中に「日本人の精神年齢は十二歳」と語ったと報じられ、人気は一気に衰えた。実は同じ戦争犯罪でもドイツ人ほど悪質ではないという意味での発言だったのだが。

 本国でも人気絶頂だったマッカーサーをあっさり解任したトルーマン大統領はルーズベルトの突然死で副大統領から昇格した地味な大統領で、再選はないと予想した米国の某紙が選挙後共和党候補当選と早とちりして報道したことでも知られる。しかし、北朝鮮の攻撃で始まった朝鮮戦争に際し直ちに韓国への派兵を決断し、非凡さを見せた。

 30年ほど前、私たち夫婦は米国勤務の旧友に勧められラスベガスのショーを見物した。椅子が6脚の小部屋に当初は新婚?の日本人夫婦と4人だったがすぐ米国人の老夫婦が加わった。同室者がアジア人ばかりと知り米国人夫婦は失望を面に出した。しかし、彼らの故郷がミズーリ州インディペンデンスと知りトルーマンの故郷ではないかと返事したら一転喜色満面となり、話が弾んだ。ニューヨークを訪ねたことがないとのことで、同地やベニスなど世界の名所の模造品を内心馬鹿にしていた私は自分を恥じた。別れに際して2度も3度も感謝された。職業上の知識が実生活で役に立った稀な機会だった!そ

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