2021年10月3日日曜日

野生動物との共存の難しさ

 十日ほども経つか、札幌の市街地でクマによる人的被害があったが、NHKのクローズアップ現代  (9.28)が「史上最多クマ被害 都市出没の謎を追う」と詳しく報道していた。死者が出なかったゆえかメディアの扱いもそれほど大きく無かったが、肋骨を折る通行人(防犯カメラ?に一部始終写っている)など4人の負傷者を出し、市街地でのクマ被害としては史上最多とか。

 かつて無い事件となった理由として番組は、近年の生物多様性の尊重の一環として市街地を取り巻くような植生と水路の「ミドリのネットワーク」が創出されたことを挙げ、クマはそれを伝って市街地に侵入したという。そうしたネットワークに反対する人は少ないだろうが、それが市民と野生動物の不幸な遭遇を生んだとしたら残念なことである。

 もう一つ、射殺されたクマの腹中からサナダ虫が発見されたことは野生のクマとしては初めてとか。その原因として1970年代後半からの「カムバックサーモン」運動が考えられるという。自然環境の改善が思わぬ結果を生んだとすれば残念である。これも野生動物との共存の難しさの一つなのか。

 私は幸い野生動物に襲われた経験はないが、30年以上前、ロープウェイで大雪山旭岳を訪ねたとき、片道ぐらいは自分の足でと思い下山は徒歩を選んだ。ところが家内と歩き出したら意外にも他人とまったく会うことがなく、急にクマとの遭遇が怖くなった。幸い遭遇も襲撃もなかったが、せめて鈴か携帯ラジオを持参すべきだったと深く後悔した。


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