2021年5月27日木曜日

沖縄への同情は口先だけ?

  5月15日は沖縄の本土復帰の49年の記念日だった。米国の施政権からの解放は一にも二にも本土復帰を願った沖縄県民の強い意志の結果だが、「沖縄の本土復帰なしに日本の戦後は終わらない」と訴えた佐藤栄作首相をはじめ、小渕恵三氏や影山清六氏ら当時の自民党内には沖縄に贖罪意識を持つ政治家がいた。私は政界事情に疎いので、今はそうした人がいないなどとは言わない ( 言えない )。ただ、与野党を含む一般論として自分の選挙区の有権者の地域エゴをたしなめる政治家は少ないと感ずる。それが米軍基地の沖縄集中と無関係とは思えない。

  最近私にそう思わせた契機のひとつは鹿児島県の無人島馬毛島の基地化の問題である。当初は米空母の艦載機の着艦訓練のための飛行場建設ととして注目されたが、最近はそのためばかりでなく、航空自衛隊のための基地建設是非の問題ともなったようだ。今は米軍の岩国基地の艦載機は着艦訓練のため1400キロ離れた小笠原群島の硫黄島まで飛ばなければならないが、馬毛島なら400キロに短縮するという。

  最近、種子島 ( 馬毛島が属する )の西之表市長選で馬毛島基地化に反対する候補が僅差で当選した。しかし馬毛島に最も近い同市でも14キロ?離れている。滑走路の方向からしても大きな騒音被害があるとは思えない。そもそも硫黄島以前の米軍の着艦訓練地は人家が密集する厚木基地だった。ちなみに作家の池澤夏樹氏は米軍機の着艦訓練とは無関係にかねてから沖縄の基地負担軽減のため馬毛島を普天間基地の代替地と訴えていたという。

  現在の普天間基地の辺野古移転計画は埋め立てなどあまりに不確実な点が多いし、完成までの歳月も長い。私はかつての立川基地と同様、米国が戦略的見地から突然方針を変える可能性は小さくないと危惧する。馬毛島の可能性は真剣に調査すべきではなかろうか。

  沖縄の米軍基地の縮小に反対する人はおるまい。しかし、自分の近くに来ては困るということなら沖縄の基地の縮小は期待できない。



  

2021年5月22日土曜日

東京五輪・パラリンピックを開催すべきか

  現在の我が国にとっての最重要事はコロナウイルスへの対処だが、それにともない東京五輪・パラリンピックの開催の是非も大きな争点となってきた。今朝の朝日新聞は 全面2ページを読者の意見 (「声欄」)と識者?3人の意見に1ページづつ当てている。「声欄」の最上段は「理念を失った大会  中止すべきだ」と、「選手たちの機会  奪ってよいのか」の正反対の二篇だが、他の7篇は「小さな努力を重ね無観客でも」一篇を除けばすべて開催反対ないし延期の意見である。識者は開催賛成の猪瀬直樹前東京都知事以外の2人は反対とそれに近い留保である。

  どちらの側の意見もそれぞれ一理も二理もある。「理念を失った大会」とは東日本震災からの復興五輪という当初の理念からの逸脱をさすが、私はもともとそれは五輪誘致の口実だったと考えるので気にならないが、昨今の五輪の巨大化商業化に対しては諸国民の友好促進との当初の理念からの逸脱だと思う ( 大国しか開催困難 )。

   他方、開催をさらに三年延期との意見には、選手にあまりに過酷だし、誘致をした国から先に提案する事かとも思う。真偽は確かでないが、日本から中止を求めれば巨額の損失費用を負担させられるとの報道もある。「中国は来年の北京冬季五輪を必ずやります。そうなったら......日本は国際的な信用を失い、国際的イベントを開催できなくなるかもしれません」との猪瀬氏の意見もあり得ないでもない。

  私は可能ならさらに一年の延期提案が望ましいと考える。北京冬季五輪との同年開催となるが、夏季と冬季と半年の時間差があれば開催可能だろう。欧米の例に照らせばワクチン接種の効果は大きいようだ。1年先なら十分開催可能ではないか?

2021年5月18日火曜日

二つの正義の間

  このところ毎日、パレスチナのガザを支配するハマスとイスラエルの間で前者によるミサイル攻撃、後者による爆撃が展開し、双方とくにガザ市民の間に200人を超える死者を生んでいる。国連を中心に停戦の試みがなされているが、双方とも聞く耳を持たない。

  現代はテレビで現地の状況にある程度接することができる。疑問だったのは、イスラエル軍による爆撃の激しさ、恐ろしさは十分感得できたが、その割りに犠牲者数は多くないことである。イスラエル建国以前の両大戦間のパレスチナでは、委任統治国の英国の施設へのユダヤ人過激派の時限爆弾攻撃がなされたが、原則としては直前の予告があった。今回もやはり爆撃前の予告があり、あれほどの激しい爆撃にしては死者数が抑えられているようだ ( 宣伝戦でも有利 )。

  今朝の『毎日』のコラム『火説』に元エルサレム特派員の大冶朋子氏が書いている。「当時ガザで取材していた私 ( が見たの )は、ハマスが病院や住宅街の下にトンネルを築いて身を隠し」、「爆弾を学校に、軍事拠点を海外メディアの居るビルに隠す.....『人間の盾』戦術だった」という。私も今回投石するアラブ人が少年ないしそれ以下の子供たちだったことを知っている。ある意図を感じざるを得ない。ヨルダン川西岸のPLOが動かないのもハマスの本質を熟知するからではないか。

  大冶氏は「『外野』の過激な言論を含め暴力は大抵『正義』の顔をしている。......市民の犠牲をいとわぬ者に正義が宿るはずもない」と、二つの正義の間で苦しむのは民衆であると結んでいる。

2021年5月14日金曜日

コロナワクチン接種の優先度

  一昨日午後、コロナワクチンを接種した。開始初日に接種できたのは申込日の5月6日に電話と別にインターネットによる申し込みを家人に依頼しておいたから。電話は予想通り不通続きだったと聞く。当日の接種会場は徒歩10分の駅前のビルで、開始直前にすでに20人ほどの先客?がいた。会場の準備が最初から最後まで完璧だったのはスタート初日という緊張感とともに、75歳以上の高齢者への配慮ということもあったのか。15日接種の家内の場合も変わらないと思うが.......。

  他の自治体の会場も多摩市と同様だろうと思っていたら、今朝のテレビは各局一斉に?、町長が特別扱いで当日接種したと報じ驚いた。今後他の自治体のケースも出そうだが、現在のところ茨城県の某町長と兵庫県の某町長がどちらも当日会場でキャンセルが出たとの連絡があり、接種したとのこと ( ワクチンは開封後6時間以内有効とか )。

  どちらの町長の弁解だったか、会場設置者の私は医療従事者の一員だからとの説明は全くいただけなかったが、私は両人への接種は何ら問題はないと思う。これだけ国民がワクチン接種を熱望している時にキャンセルされたワクチンを利用しないなど私には到底納得できないし、もし利用されずに廃棄されていたら今回以上にメディアは関係者を厳しく批判していたのではないか。南相馬市は日ごとの接種者を市が指定しているとのことだが、それでもキャンセル者は出るだろう ( もっと多数?)。

私が見た限りでは視聴者に番組中にアンケートを呼びかけたのはフジテレビだけだったが、町長への接種を優先したことへの回答は、是59%、非41%だった。気のせいか同番組での問題視の程度が以後弱まったと感じたのは私の僻目だろうが..........。

  

  

2021年5月10日月曜日

米軍立川基地に反対した人たち

  毎日新聞 ( 5月9日 )に、60年前の米軍立川基地拡張反対闘争に学生の身で参加し、現在も基地反対の立場を堅持する人の記事が載っていた。『己の道8』と見出しにあるので、同じように初心を堅持した人々の列伝かと思うが、他の回は記憶にない。

  立川基地拡張反対闘争と聞いても同時代人として記憶する人はもう多くあるまい。冷戦時代のさなか、米空軍が当時独占使用していた立川空軍基地を北側に拡張する計画を立てた。それに対し農民主体の地元民と急進的大学生たちが拡張反対を唱えて基地内に強行侵入した ( 砂川事件 )。事件を担当した一審の東京地裁の伊達秋雄裁判長は日米安保条約そのものが憲法違反であるとして無罪判決を下した ( 政府の上告を受けた最高裁が逆転有罪判決 )。

  記事の人は当時大学生で共産党員であったということだが、その後も最高裁判決を不服として闘ってきた。しかしその間、沖縄住民に本土の基地反対運動のおかげで基地が沖縄に移ったと言われ困惑したという。本土で嫌われた米軍基地を沖縄が受け入れさせられたのは事実だが、立川基地の場合、すぐ近くの横田基地がその役割を代替した可能性が高いのでは........。

  大学卒業後に立川基地拡張反対闘争に参加したと聞く友人がおり、クラスでは親しい方だった。その後長く交流はなかったが、卒業後20年あたりから始まった同窓会で再会して以来、年一回の交際が復活した。彼はその後も野党的立場を変えなかったが、両家の子女を集める有名な学園で教え、亡くなる前、中学部の校長だったと聞く。武骨で政治的立場を隠そうともしない彼を重用した学園も懐が深いと思う。

2021年5月8日土曜日

宇宙探索の新展開?

  先月末、中国が最初の宇宙ステーション ( の中核部分?)の打ち上げに成功した。すでに米国やロシアが先行しているならば、中国とて後塵を拝してばかりではいられないのだろう。

  人類の宇宙空間への挑戦は周知のようにソ連のガガーリン少佐の搭乗するボストーク1号が第一号で世界を驚かせ ( 当初はその意味すら素人にはよく分からなかった! )、米国を悔しがらせた。私はソ連時代末期にツアーの一員としてモスクワの産業博覧会?でボストーク1号を見たが、私のような閉所恐怖症の人間でなくともあんな身動きもままならない空間に乗り込みたい人は少ないのでは?

  それ以来の宇宙探索競争で他の惑星探索は国威発揚の目的だけでなく、将来の資源獲得や移住可能地発見をめざして水や酸素の存在を確認する努力にもなりつつあるようだ。しかし、地球の未来が温暖化などで必ずしも明るくないとしても、人類を受け入れるほどの水や酸素の豊かな惑星が存在するとも思えない。もっと地球の危機への対処に力を集中した方が良いのではと素人は思う。

  宇宙探索の唯一の正当化の可能性は地球が他の宇宙物体と衝突して人類が絶滅の危機に瀕する時だろう。かつて地球で栄えた恐竜類はそれが原因で滅びたと言われる。それでも数十億人の地球人が移住できる星も移住手段も考えられない。せいぜい、ブルース・ウィリス主演の米国映画『アルマゲドン』のように宇宙技術が地球を救う ( 危険な小惑星を爆破する )ことを期待するぐらいか??


2021年5月4日火曜日

コロナ禍雑感

  テレビのニュース番組を毎日開始時間から見ることが多かった私も最近は途中からが多くなった。開始後しばらくはどうせコロナ禍関係のニュースに決まっているから。そんな私でも午後3時にテレビをつけてその日の感染者数を知ろうとする。旅行も知人との会合も困難では感染者の増減を気にしないではいられない。

  十日ほど前ようやく市役所から夫婦二枚のワクチン接種券が送られてきた。75歳以上優先との市の方針のおかげらしい。当ブログで通勤族優先を訴えたくせにと批判されそうだが、矛盾するがやはり嬉しい。とはいえ実際の接種は5月中旬以後いつになるか分からない。せめて初夏までにと願うばかりである。

  欧米を中心とした先進国の中では日本の感染者数も死者数もきわめて少ない。しかし、それらの国々がワクチンのおかげでコロナ禍も峠を越えたかに見えるのに、我が国のワクチン接種数は大きく後れをとっている。やはり自国産のワクチンを持たぬ国の悲しさだろうか。その分野では我が国は先進国ではないのか!

  もう一つ当初から気になっていたのはニュースがまず東京の感染者数 ( 最近は大阪や兵庫も )を取り上げること。全国の合計値は集計が遅れることは理解するが、夜のニュースでも全国の感染者情報は東京や大阪ほどには優先して発表されない。私が地方在住者だったらさぞイライラするだろう。私は特別短気な人間なのだろうか?