2021年2月24日水曜日

遠くない食糧危機?

  NHKテレビで国谷裕子さんも出演 ( お久し振り!)した世界の食糧事情の紹介番組があった。昔は考えられなかった低価格で米国産牛肉が街で売られており有り難いが、将来はうそ寒いとのこと。

米国産牛肉の主要産地である中西部のカンザス州には650万頭の肉牛がトウモロコシを飼料として飼われている。以前から、中西部の農業は過去数百年 ( 数千年?) 間に蓄積された地下水を費消していると聞いていたが、番組によるとカンザス州では水は地下60メートルに減少し、今後十年で無くなるという。そうなればトウモロコシ生産も衰退せざるをえない。人類の飽くなき牛肉消費が生んだ現実である。

美食追求の結果の将来不安は牛肉に限られない。今や世界に拡大したワイン生産も危機に一役買っている。ワイン1本の生産には652リットルの水が必要である。牛肉とワインをはじめとする食糧を大量輸入する日本は年間80兆リットルの水を輸入していることになる。

対策としては世界の食糧の3分の1が捨てられているというムダ排除が第一だろうが、大豆とココナッツオイルで造る人工肉 ( バーガーキングではすでに提供とか )の利用も時間の問題かも。ふりかえって2021年頃は何でも安く手に入ったと嘆くことになるのか。「ゼイタクは敵だ」と教えられた世代の杞憂だけでも無いのでは?

2021年2月22日月曜日

ビルマの民主主義の苦難

   不幸の予言をしたくないが、軍事クーデター以後のミャンマーの軍政と民衆の対立は前者による後者への武力弾圧に近づきつつあるようだ。欧米を始めとする民主主義諸国の批判も経済制裁も、ひとたび「ルビコン川を渡った」軍人たちには効果はないだろう。

   十余年前の軍政から民政への移行は極めて不十分なものだったが、それでも方向としては民主化の歩みだった。それを逆転させた今回の政変に弁護の余地はない。

 それでもイラクやアフガニスタンへの介入で苦杯を呑んだ米国は自国民への被害でない以上、説得と経済制裁以上の行動は不可能だろうし、我が国も同様である。結局のところ弾圧されたミャンマー人をできるだけ多く政治難民として受け入れるぐらいしか我が国は考えられないのは歯がゆい限りである。デモ参加者の無事を祈るしかない。

2021年2月19日金曜日

美辞麗句には注意を!

  ようやく森喜朗東京五輪組織委員会会長の後釜に橋本聖子氏が決まった。その間、新聞各紙では候補者検討委員会の運営をめぐって「密室」「密室人事」の文字が踊らない日はなかった ( 『毎日』2.17 『東京』2.18 『朝日』2.19 など )。だが、そうした批判は正しいだろうか。

  今日のTBSの情報番組『ひるおび!』 で片山前鳥取県知事が、検討委員名の非公開には疑問を呈していた。しかし議事内容の公開は、審議中に批判されたり反対されたりした候補者 ( 立候補したわけではない ) にとり耐え難い事態であり、人権にも関わると言っていたが、全く同感である。記者たちはその程度の配慮すら持ち合わせないのだろうか。

  少し前に山下泰裕JOC会長がJOCの審議内容を非公開に改めたときに私はこのブログで賛成した。今回も同氏は委員会で非公開を主張した二人の一人と明かした上で、「メンバーが自分の信念に基づいて自由に発言するには、何としても (非公開にして ) その人たちを守らないと、圧力がかかる。透明性より、本音で考えを述べる機会をつくることの方が大事だ」と述べ、非公開を支持する立場を明確にしたとのこと ( 『朝日』2.19 )。日頃から各競技のボスの伝声管のような委員の発言にうんざりしてJOCの改革を実行した同氏の真意を記者たちは理解できなかったようだ。

  透明性も公開性も可能な限り尊重されるべきだが、状況によっては逆効果を生む場合がある。言葉に酔って良いはずが無い。

2021年2月15日月曜日

人類の進歩とは?

  昨日、駅前の図書館分室ではなく、別の分室に出かけた。運動不足を多少とも解消したいとの無駄な抵抗なのだが。自宅からの距離の差は僅かだが、坂の上り下りの回数が倍ほど違う。

  途中、竹林の中の小道で鳩のものらしい 羽毛 ( 色から判断 ) が20メートルほどの間に散らばっていた。人間の仕業とも思えない。猛禽類に襲われ餌食となったのだろう。人間が勝手に平和の象徴扱いする鳩も動物間の生存競争を免れられない。

  野生動物をテーマにしたテレビ番組をときどき視る。その大部分は肉食動物で、他種の動物を殺して生活している。動物界は生存競争そのものである。考えてみれば人間も同じで、他人が殺してくれた動物の肉を食している。

  録画してあったアマゾンの奥地の先住民「イゾラド」の紹介番組を視た。同じ先住民でも分散して生活し文明社会との接触を全く持たない未開人で衣服というほどのものは無く、合計しても最大500人ほどと推測される。他の文明化した先住民を殺したことから調査がなされたとのこと。

  極度の警戒心を持つ ( 好奇心も ) 彼らにアンケートを実施した結果は、1)  「文明側の人間をどう思うか」の質問には、「あなたたちが怖い」。2) 「何故ひとを殺めたのか」との質問には「怖いから先に殺した」。 3) 「あなたたちは幸せか」には「わからない」との答えだった。

  この番組の与える印象は人様々だろう。私自身は誕生以来の人類が歩んだはるかな道を想った。

2021年2月11日木曜日

川淵新会長に期待

  森喜朗東京五輪組織委員会会長の辞任が決定したようだ。遅まきながら妥当な結末である。何がこの辞任表明への決定打となったのか。国民世論の逆風か。IOCが一転強い批判声明を出したからか。最大の協賛企業のトヨタ会長の批判も辞任を促進したのか ( あまり可能性は大きくない?)。テレビは米国のNBCテレビの批判も伝えている。

  私はNBCの名前を見て極めて不快に感じた ( なぜ米国の商業テレビがしゃしゃり出るのか!)。NBCがテレビ放映権を独占した事実を直ぐには思い出せなかったのである。しかしトヨタの協賛は直接の企業利益との関連は薄いのに対し、NBCの場合は企業利益と直結している。仮に同社の影響力が働いたのならオリンピックの商業化の結果とも言え、別の問題を感じる。

  オリンピックもパラリンピックも選手たちの活動を通じて諸国民の友好に貢献するものだろう。観客の参加は望ましいが、これだけテレビ放送が全世界で見られる時代にそれが不可能だからと言って中止すべきだろうか?  コロナ禍の今回は聖火リレーも華麗で長時間の開会式も必須ではあるまい。競技の開催を最優先すべきである。

  森会長の後任には川淵三郎氏が有力候補とのこと。企業スポーツだったサッカーを今日のJリーグに育て上げた同氏なら最適任だろう。探せば適任者は現れるものである。組織委員会ら関係者は新会長に協力して最後まで開催の可能性を追求してほしい。


2021年2月6日土曜日

訂正

 前回のブログに「森会長が辞めたら五輪が持たない」と書いたが「もたない」が正しく、続けられない、中止になるの意。悪しからず!

2021年2月5日金曜日

森喜朗氏の問題発言とメディア

  今日の『朝日川柳』に「森会長どこに出しても恥ずかしい』との一句が載っている。同氏がこれまで幾つもの問題発言をしてきたことは記憶に新しい。ということは今回を老害と言って済まされない。

  それとともに外国紙を含む複数のメディアで、同氏の発言に対する反論が評議員会の席で挙げられなかったことが批判的に言及されている。NYタイムズの「一番のニュースはJOC評議員会という公的な場で、記者もいる中で発言し、誰も差別を止められなかったことです」はその代表だろう ( 『本音のコラム』での北丸雄二氏の紹介 ) 。しかし、森会長の相変わらずの問題発言と、評議員たちの態度とは分けて評価すべきである。

  多くのメディアが東京オリンピック ( とパラリンピック ) の中止を訴えている。だがその結果、同日の東京新聞の「記者の目」という記事によると、「五輪開催を切望する選手の発言がインターネットに載ると、コメント欄はしばしば『炎上』する。.....ある女性選手は最近、『人生を賭けてきたし、もちろん開催してほしい。だけど、今の世の中的に、うかつなことはしゃべれない』と漏らしていた」。「主役であるはずのアスリートたちが世論を意識して言葉を選び、言いたいことを控えながら今夏へと黙々と汗を流す一方で、'外野'が奔放な発言を繰り返している」。同日の『毎日』によると、「世論の反発とは対照的に、大会関係者の間では森氏に辞任を求めるどころか、『森会長が辞めたら五輪が持たない』との声が大勢を占める」という。

  私も今夏の両大会の開催はたとえ無観客でも困難かとは思う。しかし、決定権はIOCにあるなら、我が国が開催不能を云々して選手を苦しめてなんのよいことがあるのだろう。

2021年2月2日火曜日

鶏卵生産のジレンマ

  昨年後半以来、鳥インフルエンザへの感染が国内で拡大し、防疫のため大量に鶏が殺されている。今日も茨城県の城里町の飼育場で84万羽が駆除されるとテレビが報じている。昨年以来駆除された鶏は合計711万羽に達するという。

  これ迄このブログでも物価の優等生として鶏卵に言及してきた。おそらく大規模飼育が原因だろうとは想像していたが、飼育規模がこれほど巨大とは知らなかった。これほど一斉処分されたら鶏卵価格が急騰するのではと心配したが、今のところ値上がりしていない。全国の飼育数はさらに巨きいということだろう。それにしても巨大生産のジレンマではないか。

  我が国の鶏の飼育は鶏卵生産にせよブロイラー生産にせよ、狭いケージに一羽ずつ閉じ込める方式が主流のようだ。ところが最近ヨーロッパ諸国から非人間的?飼育方法であり、止まり木などを備えた鶏舎で飼うべきだとの批判が強いと聞く。それに屈しないため業界が自民党の農林族に献金していたことが汚職事件となっているのは御承知だろう。

  どうせ最後は殺され人間の胃袋に収まるのだからヨーロッパの非難は「ワニの涙」のようでもある。しかし一生をケージで過ごし搾取されて終わるというのも人間の身勝手そのものである。せめてある期間は広い空間で飼育させたいとは思う。そのため現在の鶏卵価格が上昇しても私個人はある程度 ( 2倍くらい?) は我慢したい。それも「ワニの涙」と言われれば否定はしないが.........。