共産主義ソ連は鎌と槌を国旗に取り入れたように労働者と農民の国と自らを規定した。その結果、知識人などそれ以外のカテゴリーの人間は軽視されたばかりか、むしろ疑惑の目を向けられた。その頂点がソ連の後を追った中国の下放運動だった。楊氏の父は教員だったため一家は辺地に送られ地獄のような苦しみを味わった。激しいタイトルは共産党政権への絶望から生まれた。
私は習近平が中国の指導者に選ばれたのち出来るだけ好意的に見守ろうと心がけた。文革で彼の父も一時失脚し、彼自身も辺地に下放させられた前歴があるからである。彼の汚職撲滅運動も他派閥排除の側面を持つと感じながらも中国にとって何よりも必要と考えたからである。私が本書を購入したのは少しでも売れ行きに貢献したかったこともあるが、楊氏が私と同じ期待を抱いたがその期待を裏切られたため激しいタイトルとなったのではと想像したからである。しかし、理不尽極まる下放を経験した氏には習近平への期待など最初から持ち得なかったようだ。
本書のもう一つの主張はコロナウィルスが武漢の研究所から流失したものであり、米国弱体化の作戦の一部だというもの。私には判断できないし、本書も決定的証拠を示してはいないが、一般論として現在の中国が目的のためには手段を選ばない国家体制であることは同意したい。本書は何よりも日本人への警告の書なのである。
0 件のコメント:
コメントを投稿