2020年7月1日水曜日

香港国家安全法の起源

昨6月30日、中国の全国人民代表大会で国安法が可決された。即日施行ということなので香港住民は今日からいつ告発され罪人とされるかわからない。きのう香港の自由は死んだも同然である。英国旅券を所持する人は別として亡命を希望する香港人は、母国語が通用する台湾やマレーシアを第一に考えるだろうが、希望者があれば我が国も全員を受け入れたい。彼らは難民なのだから。

中国が全体主義独裁国であることは23年前から明らかだったが、50年間には中国経済は発展し、独裁も緩和されるとだれもが予想した。独裁制が自ら平和的に退陣する例は極めて稀であっても、予想がこれほど残酷に裏切られるとは.........。

日中戦争後、中華人民共和国を樹立した共産党とて、共産主義による人民の幸福達成を願っていたはず。それが裏切られた理由は幾つかあろうが、最大の理由はソ連型共産主義の創始者レーニンの「前衛党理論」を継承したことだろう。

前衛とは大衆の先頭で敵と闘う人を意味する。とすれば大衆より早く真理を獲得した前衛が大衆の意見に左右されるのは不合理である。こうしてソ連型共産主義では党大会より党中央委員会、中央委員会よりも中央委常任委員会、常任委員会よりも党主席 ( ソ連では党書記長 ) の権威が上回っていた ( ソ連で書記長が解任されたのはキューバ危機で面目失墜したフルシチョフだけ ) 。そうした体制が全体主義独裁に至るのは避けられなかった。

香港の民主化運動のリーダーの一人の周庭氏 ( アグネス・チョウ ) の最近の訴えを今朝の『天声人語』が紹介している。「日本の皆さん、自由を持っている皆さんがどれくらい幸せなのかをわかってほしい。本当にわかってほしい 」。私はこの香港自由人の叫びを『朝日新聞』自身に真っ先に肝に銘じてほしい ( もっとも全国紙のうち同紙だけが、この「白鳥の歌」を紹介しているのだが..........)。

0 件のコメント:

コメントを投稿