2020年7月21日火曜日

異教徒より憎い異端派

半世紀前の第三次中東戦争でのイスラエルの勝利以来、同国によって続けられたヨルダン川西岸のパレスチナ領への入植活動はネタニヤフ現政権のもとで公然たるものとなり、トランプ米政権がそれを是認すると最近報ぜられた。これまでと同様アラブ諸国の強い反発を生むと予想されたが、反発は形だけに留まっている。

今朝の毎日新聞の『火論』というコラムに大治朋子なる人 ( 同紙の記者?) の「中東勢力圏を変える脅威」と題する解説が載っている。それによると今回のアラブ諸国の反発の鈍さには二つの理由がある。一つにはスンニ派の諸国にとっての「共通の敵イラン」の攻勢に直面して対イラン包囲網が形成されつつあり、いまや彼らにとっての主敵はイスラエルではなくイランとなりつつあることである。

二つにはイスラエルの有するサイバー技術が「中東や南米で引く手あまた」の現状であるとのこと。両地域に多い独裁政権にとってはこの技術が「反政府活動家らの携帯からデータを盗み出し......監視するために使われている」とのこと。

それ以外にもパレスチナ解放機構 ( PLO ) の腐敗など理由は単純ではないだろう。かつて中世にはヨーロッパでもカタリ派などローマ教会により異端とされた勢力は無慈悲に弾圧された。異教よりも異端が許せないという心理に洋の東西はないが、それではイスラエルからの被占領地の回復という目標は遠ざかるばかりだろう。

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