2020年7月6日月曜日

白人層の不安を利用するトランプ大統領

ミネアポリスの白人警官による暴行殺人事件以来、米国における人種間の分断が改めて問われ、各地で人種差別を糾弾するデモが頻発している。最近はそれが歴史上の人物の銅像の破壊にまで発展している。その頂点?が「建国の父祖たち founding  fathers 」への評価の変更を求める動きだろう。これがトランプ再選にどう影響するか。

米国独立戦争の二大震源地は商工業中心のマサチューセッツ植民地と大農経営中心のヴァージニア植民地だった ( 未だ、州とはいえない )。そのうち、初代大統領ワシントンや独立宣言起草者ジェファーソンら、ヴァージニアの代表者たちは多くが農場主であり奴隷所有者だった。彼らを奴隷主なるがゆえに批判することは誤りとはいえないが、これまでの米国の歴史教育の否定になりかねない。

徹底した実利主義者のトランプ氏はこの状況をむしろ好機と捉え、自らを米国の政治的伝統の擁護者を演じている。遠くない将来、米国の白人は国民の少数派になる。前回の大統領選でも予想を覆して当選したのは衰退州の白人貧困層の支持者とともに、未来に不安を抱く「かくれトランプ支持者」の支持だった。

ボルトン元補佐官の回想録により、トランプ大統領の目指すのは一にも二にも自分の再選であることは明白になった。トランプ支持者たちもそれに気付かないほど愚かではあるまい。しかし彼らも白人がマイノリティになる未来を何としても受け入れたくない。米国史の「偉人たち」の否定がトランプ再選を助けないよう願うばかりである。


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