以前このブログで紹介したと思うが、福沢諭吉は自分が一代で二世 ( ふたよ )を経験したと記した。封建の世と近代の世である。私の世代の場合、それほどの変化では無いが、それでも軍国主義と戦争の世と平和の世の違いは大きかった。幸い一年違いで戦時中の学徒の勤労動員 ( 授業無し)も免れ、『学徒動員の歌』を歌うだけで済んだとはいえ。
軍国主義の世と言っても私自身が思想弾圧を受けたわけでも無い。それでも街で軍服と帯剣の兵士を見かけるときの緊張感は覚えている。今はハチ公前広場となっている市電の乗り場から青山通り経由で都心に向かうとき、表参道との交差点で乗客は一斉に明治神宮遥拝をさせられた。戦時の後半は地方にいたため量的な飢えは経験しなかったが、質的な飢えもあることを知っている。
そういう年代の人間からすると、いまの世は極楽のように映る。1944年の東南海地震と1945年の三河湾地震を経験したが、国家が何かしてくれたとは聞かない。それどこか戦時のため被害の報道さえ抑えられた。今も汚職、選挙違反など問題は多々あるが、国民が主権者である以上、それは有権者の責任である。根気よく改めて行くしかない。
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