2019年9月15日日曜日

パリのストライキ

昨日 ( 9月14日 )の東京新聞に「公共交通   大規模スト   退職制度改革に反対   通勤客はうんざり」との記事が載っている ( 他紙には無いようだ ) 。パリ交通公団の職員たちが退職年齢を50歳から52歳に延長するとの当局の提案に対しストライキで応戦しているとのことである。

我が国の交通機関のストライキもかつて年中行事だった頃があったが、いまや絶滅危惧種のように稀になった。ヨーロッパでも交通ストはあまり聞かれなくなったが、ほとんど唯一の例外はフランスである。しかも、退職年齢の2歳延長がストライキの理由となるところがいかにもフランスらしい。

現在の我が国の民間企業の退職年齢は60歳から65歳に延長中といって良いだろう ( さらに70歳への延長も取り沙汰されている ) 。ともあれ日本の労働者が定年延長に反対してストライキを敢行するとは考えられない。そこには彼我の退職後の生活保障の問題も絡むかもしれないが、労働を苦役と捉えるか義務と捉えるかという労働観の違いもあるようだ。

19世紀も末に近く ( 1883年 )、フランスの社会主義者でカール・マルクスの娘婿だったポール・ラファルグは『怠ける権利』という著作を書いた ( 邦訳 1972年  平凡社。  のち、新版あり ) 。もちろん、資本家による労働者の搾取に反対する趣旨だろうが、我が国ではなかなか思いつかないタイトルではある。

以前に書いた気もするが、四半世紀前に私のパリ滞在中にパリの空港関係者のストライキで、かれらが滑走路上でデモをおこないエアラインの発着を阻止する場面をテレビで見て驚いた。我が国なら人命を危険にさらすとして世論のひんしゅくを招きかねない。善悪は別にして国民性の違いに驚かされる。

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