2019年2月25日月曜日

鉄道車両製造能力の国際比較から

昨日の朝日新聞の第一面トップは「中国製地下鉄  米を監視?」「『首都の機密守れ』 入札延期」というもので、驚くべき記事だった。米国の首都ワシントンの地下鉄にボストン、シカゴに続いて中国製地下鉄車両の採用が有力視され、議会や専門家から反対の声があがっているとのこと。現在の鉄道車両は単なるハコではなく、運行上必要な各種センサーの塊であり、中国に情報コントロールを可能にするとの危惧である。

私は I T技術の素人なので、国防総省の利用者の多い地下鉄に中国製車両を採用することがどれほど危険かは皆目わからない。しかし、国防総省と無関係なボストンやシカゴの地下鉄がすでに中国製車両を導入していること、すでに「米国では旅客車両を造るメーカーは淘汰され、もうない」ことは私にとって驚くべき事実である。

もっとも、次ページの図表によると、米国の鉄道車両製造能力は、世界の中で、14.6%とあるので、中小私鉄の要求に応える製造会社はまだ存在するということだろうか?  この図表によると世界の鉄道車両製造能力のシェアは中国43.1%、日本5.9%、その他 ( ドイツのジーメンスやフランスのアルストムなど?) 36.4% 。いかに中国が急速に製造能力を向上させたかが分かる。

車両製造以上に注目すべきは粗鋼生産力で、中国49.2%、日本6.1%、その他39.9%、米国4.8%。自由貿易により、より安価な製品を優先した結果がこれである。

1960年代の中ごろ、英国が自前の原子力潜水艦の製造を計画したとき、既に使用可能な優れた鋼材を自国では生産出来なくなっていた。世界で最初に産業革命を成し遂げ自由貿易主義の母国でもあった英国がである。既に覇権国では無くなっていた英国なら兎も角、米国が同じテツを踏むならば世界の安全にとりあまりに危険である。覇権国家の無い世界は理想ではあるが、中国が米国に代わって覇権国になるのは悪夢以外の何物でも無いだろう。

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