番組中の指摘で19名の死者の名前は未だに匿名であると改めて知った。むろん家族の希望を尊重してのことだが、家族といっても必ずしも非公開を希望する人たちばかりではないとのこと。逆に、匿名により「すべてを否定されたように感ずる」「 ( 健常者と ) 命の重さが違うように感ずる」家族がいるのは十分理解できる。元職員には慰霊碑の建立を願う者もいるが、犠牲者の氏名を銘記すべきかどうか、結論に至らないらしい。
犯人の元職員はむろん特異な性格の持ち主だったろうが、本人は殺人に至った動機として、危篤状態の収容者を救ったのに家族から感謝の言葉がなかったことを挙げていた。そうした家族の存在も十分あり得る。家族の精神的負担の重さは部外者の想像を超えたものがあろう。
現役の看護師でもある宮子あずさ氏は一年前の東京新聞 ( 2018年1月29日 ) の『本音のコラム』に「これ ( 事件 )を知った瞬間、心が痛んだ」と回顧している。「せっかく救命できても、手がかかるようになった家族からは喜ばれない。そんな経験を何度もしたからだ」「介護にせよ看護にせよ、ケアを仕事とする人間は、きれい事で無い現実を見る」「この問題の存在を認めた上で、対処が必要だ」。
私は死刑存置論者であるが、この職員に死刑は当然であるとまでは言い切れないている。
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