2019年1月19日土曜日

新入国管理法再論

今朝の毎日新聞の『経済観測』というコラムに日本の「ベトナム簿記普及推進協議会」の理事長なる人物が、昨年の入国管理法改正の結果が「大変に心配だ」と危惧を表明している。過去10年ほどもベトナムに関わってきたとのことなので実情に疎いとは思えず、「約束と違う低賃金や過剰な残業に苦しむ」との指摘はこれ迄の新聞報道でもよく指摘されたところである。

しかし、氏が指摘する日本語教育の充実を始めとし改善すべき点は多々あるとしても、ベトナム人研修生は強制的に徴用されてきた訳ではないし、両国間にこれだけの人的交流がある時代に日本の実情に全く無知で来日したとも思えない。

同じ毎日新聞 ( 12月24日 )に、元ベトナム難民で現在は日本国籍を持ち実習生事業  ( 人材派遣会社?)に従事している人の主張が載っていた。それによればベトナムの平均月収は約2万3000円。仮に悪質ブローカーに100万円の手数料を払って来日したとしても、月2~3万円の送金があれば家族は困らず、研修期間の3年間に100万円の貯金は可能であり、それで家が買えるとして受け入れ拡大に賛成している。

二人の主張はどちらも誤りではないだろうが、私には12月24日の記事の方が大局を捉えていると感じる。それによると3751人のベトナム人研修生が失踪したとのことだし、以前の新聞報道によると3年間に400人近い研修生の自殺があったが、どちらも分母である総数や同年齢層の日本人の自殺率との比較を欠いては一概に多いとは言えない。

ベトナム人は前大戦中 ( 日本による占領期 )に多大の人的被害を被ったのに親日的である。そこには中国への警戒心も働いているだろうが、死力を尽くして戦った相手のフランスや米国とも現在良好な国家関係を持つように、対中警戒心だけでは説明できない国民性の問題もあるようだ。私はベトナム各地に旧研修生の新築の家が見られれば素晴らしいことだと思う。彼らは宗教原理主義とは無縁のようだし。

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